もうご存じの方も多いでしょうが、電気自動車メーカー『テスラ』のライバルといわれた、燃料電池トラックメーカー『ニコラ』(Nikola)が詐欺案件だったとして、アメリカ合衆国ナスダック市場で同社の株価が暴落しました。
↑『Nikola』の燃料電池トラックとされる「Nikola ONE」
しかも、合衆国自動車メーカー『GM』(ゼネラルモータース)と提携をした後での暴落です。
↑上掲のように『ニコラ』の株価は暴落しました
詐欺案件だと告発したのは『ヒンデンブルグ・リサーチ』(Hindenburg Research)というグル-プで、「法医学的な金融研究を専門にしている」と自己紹介しています。
『ヒンデンブルグ・リサーチ』は09月10日に「Nikola: How to Parlay An Ocean of Lies Into a Partnership With the Largest Auto OEM in America」(ニコラ:ウソ八百で合衆国最大の完成車メーカーと提携する方法)というリポートを出しました。
また『ヒンデンブルグ・リサーチ』は、『ニコラ』が詐欺案件であるという確信を持ったので、ショートポジション(空売り)を取ったことも明らかにしています。
弟は「水素の専門家」じゃなく「舗装工事の職人」だった!
『ヒンデンブルグ・リサーチ』の調査は微に入り細に入り、『ニコラ』がいかにいい加減かを明らかにしています。ついてきたウソをこと細かに挙げているのですが、その一部を以下に引用します。
・トレバー(ニコラ会長のTrevor Miltonのこと:筆者注)は、彼の兄弟であるトラビスを、ビジネスの重要な部分を監督する「水素製造/インフラストラクチャーのディレクター」として任命しました。トラビスのこれまでの経験は、主にコンクリートの私道を造ること、ハワイでの住宅改修に関する下請作業で構成されていたのですが。
・エネルギー生産資産を所有しているという主張は、『ニコラ』にとって新しいものではありません。トレバーは『ニコラ』の本社の屋根に3.5メガワットのソーラーパネルがあり、エネルギーを生産していると主張しました。屋根の航空写真とその後のメディア報道で、そんなパネルは存在しないことが分かっています。
・ある時点で、『ニコラ』は独自の天然ガス井を所有していると主張しました。これを裏付ける会社の提出書類には証拠がありません。主張は最終的にニコラのウェブサイトから静かに削除されました。
etc、etc……
他にもたくさんあってどの項目も面白く、傑作なリポートなのでぜひ上記リンクにアクセスしてみてください。
一方で『ヒンデンブルグ・リサーチ』は、「このレポートは私たちの意見であり、すべての読者が独自のデューデリジェンスを行うことをお勧めします」としています。
さあ、この詐欺騒動はどう決着するでしょうか。詐欺と認定されるでしょうか。それとも『ニコラ』というスタートアップ企業はこのスキャンダルをかいくぐって立派な企業に発展するのでしょうか。
楽しみですね。
(柏ケミカル@dcp)