中国の「人民元」はドルの裏打ちが要る!「外貨資産を減らせない」という件

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田村秀男先生が『夕刊フジ』の連載「独話回覧」で「中国の習近平政権が外貨流出で追い込まれている」という指摘をされています。このお話の背景には、中国の通貨「人民元」の特殊性があります。

以前からご紹介しているとおり人民元というのはヘンな通貨で、入ってくるドルを基に発行されます。田村先生は以下のように説明されています。

(前略)
事実上の「ドル本位制」をとっている人民銀行は、外貨すなわち、国有商業銀行などからのドル買い上げを通じて人民元を発行する

人民元は一定比率以上のドルの裏付けがあるという建前にして通貨価値の信用を保つという中国ならではの通貨制度である。

買い上げた外貨は外貨準備または人民銀行資産として計上される
(後略)

⇒参照・引用元:『夕刊フジ』2020年09月15日(14日発行)「独話回覧」田村秀男

赤アンダーライン、強調文字は筆者による(以下同)

人民元は「ドルがある」という裏打ちの基に信用される通貨で、逆にいえば「ドルが流入しないと信用がなくなる」のです。ですから「一定比率以上の裏打ち」のために、ドルを確保しないといけません。

この「一定比率」というのがどのくらいかというと、田村先生によれば、「外貨資産/人民元の発行高」で求めると直近では「7割がやっと」とのこと。

2010年当時にはこの比率が「130%」に達していたのですがその後どんどん下がってしまったのです。分母が「人民元の発行高」、分子が「外貨資産」なので、つまり外貨資産の比率が小さくなったというわけです。

アメリカ合衆国と中国の対立によって、ドルの流入が減少する方向に向かっています。つまり分子がさらに減るわけです。

すると人民元の価値の裏打ちがうっすくなります。どこまで信用が持つかという話にもなりかねません。

では、どうすればいいかというと、分母の人民元の発行高を絞ればいいのです。そうすれば外貨資産の比率を下げないで済みます。「そんなバカな」と思われるかもしれませんが、中国はこのコロナショックに人民元を刷らずにガラをかわそうとしているふしがあります(洪水被害にも保障するとか、支援するとか一切言い出さないことを想起してください)。

田村先生の言葉を引きます。

(前略)武漢市発で新型コロナウイルス・ショックが勃発した今年でも、景気テコ入れに必要な人民元資金を増やさず、逆に金融引き締め策をとる異常ぶりだ。外貨資産7割ラインの保持が最優先するのだ。
(後略)

というわけで、中国のおっかしな話でした。中国共産党政府のお手並み拝見といったところです。

(松田ステンレス@dcp)

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