大変な椿事、というか「むべなるかな」というデータが出ました。
2023年09月21日、カナダの『FRASER INSTITUTE』(フレイザー研究所)がおなじみの「Economic Freedom of the World(世界の経済自由度)」リポートの(2021年に得られた包括的データに基づいた)2023年版を公表しました。
↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください/スクリーンショット⇒参照・引用元:『FRASER INSTITUTE』「Economic Freedom of the World: 2023 Annual Report」
これは、世界各国・地域の経済における自由度がどのくらいあるのかを、
1.政府の規模
2.法制度と財産権
3.健全なお金
4.国際貿易の自由
5.規制
という5つの領域について、165のIndexで評価し、レーティングしたものです(10点満点)。
この2023年版では驚くべき結果になっています。
1970年にレーティング「8.79」で世界一経済的自由度が高いとされ、以降2022年までずーっと1位の座を守り続けてきた香港(Hong Kong SAR, China)が、2023年版で首位から転落したのです。
↑「Hong Kong SAR, China」の時系列データ。1970年から2022年まで1位。2023年に2位になって首位から陥落しました。
理由は読者の皆さまもご想像のとおり、明らかに中国共産党によるものです。つまり、中国共産党の手に落ちた香港には、かつてのような野放図ともいえるような経済的自由はもうない――というわけです。
『フレイザー研究所』は、2023年版において、
「中国政府は香港に新たな大きな参入障壁、外国人労働者の雇用への制限、事業コストの上昇を課し、これにより香港の規制の項目は0.25点低下した。
また、法治に対する軍事介入の増加、司法の独立と香港裁判所の公平性における信頼の低下により、法制度と財産権の項目は0.20点低下した。香港のスコアは今後も低下すると予想している」
と述べています。
一方で、識者の中には、カナダと中国の対立が深まっていることの現れである――と見る向もあります(『フレイザー研究所』はカナダの公的シンクタンクです)。
傑作なのは、この結果に対して香港政府が不快感を表明していることです。
↑『香港特別行政区政府』が出した「香港は今でも世界で最も自由な経済体の一つにランキングされ続ける」という文書。「の一つ」になっちゃったところがミソです。
香港政府報道官は「香港の法治に対する中国本土の軍事介入は全くの架空のものであり、事実に反する。香港は一国二制度の原則に基づき高度な自治権を享受している」と述べています。
「まあ、こうでも言わないと仕方がない」というべきでしょうが、中国共産党の手の及ぶところに経済的な自由などありません。
『フレイザー研究所』の指摘どおり、香港のレーティングはこれからも落ちていくでしょう。同時に香港に対する投資も減るでしょう。これは自業自得です。
ちなみに、このレーティングによるランキングは以下のとおりです。
1位から20位まで抜粋すると以下になります。
第1位 シンガポール
第2位 香港
第3位 スイス
第4位 ニュージーランド
第5位 アメリカ合衆国
第6位 アイルランド
第7位 デンマーク
第8位 オーストラリア
第9位 イギリス
第10位 カナダ
第11位 台湾
第12位 エストニア
同12位 リトアニア
第14位 アイスランド
第15位 ルクセンブルク
同15位 モーリシャス
第17位 チェコ
同17位 フィンランド
同17位 スウェーデン
第20位 日本韓国は第42位です。
⇒参照・引用元:『FRASER INSTITUTE』「Economic Freedom of the World: 2023 Annual Report」
(吉田ハンチング@dcp)