韓国メディア『韓国経済』に興味深い記事が出ていますのでご紹介しておきます。「新韓国経済危機論」だそうです。
何を言っているのかよく分からないところも多々あるので、要旨だけ引用しますと以下のようなことです。
コロナ事態以後、世界経済はこれまでの理論と規範が通じないニューノーマル時代に突入した。韓国経済にタイする危機論も新しくなっている。
問題なのは以下の5点。
①失業率とインフレーションの関係であるフィリップス曲線が右上がりになっており、スタグフレーションの懸念が出ている。
②債務・GDPギャップ(credit-to-GDP gap)が1972年の統計作成以来最高水準に達し、金融危機が発生する可能性が高まっている。
③輸出志向的な政策を推進するが、開放の速度があまりにも速くないかという懸念がある(筆者にはこの項目が何を言っているのか意味不明)。
④海外株式投資額の急増など海外への資本流出が大きくなっている。
⑤韓国が「中進国の罠」に陥る可能性がある。
⇒参照・引用元:『韓国経済』「大統領候補の『韓国経済新危機論』」
何を言っているのかよく分からない③は置くとして、①②については最近Money1でもご紹介してきました。
①は以下の記事で。
②は以下の記事で。
④は資金流出を懸念していますが、しかしこのような投資を拡大することで、投資の上がりを受け取れるようになります。つまり、貿易収支だけで食べていた国が、十分なもうけを得て、それを海外に投資し、配当を受け取るようになる。通常どの国も通る道で、なぜこれが経済危機論になるのかよく分かりません。それこそキャッシュアウトの程度の問題です。
⑤の「中進国の罠」というのは「中所得国の罠」(Middle Income Trap)のことでしょう。中所得国の罠については以下の記事でご紹介したことがあります。
簡単にいうと、発展途上国の経済成長が鈍化し、高所得国になれず中所得国のままになってしまうことです。多くの発展途上国でこのような現象が見られます。
この記事の書き手は「2006年に世界銀行(World Bank)が初めて使用したMITは、アルゼンチン、フィリピンのように新興国が順調に成長し、先進国の域に到達して、ある瞬間に成長が停滞し、新興国に再墜落する現象をいう」としていますが、違います。
経済発展をとげて所得を上げてきたのに高所得国まで届かない現象のことをいうのです。
韓国はすでに『世界銀行』から高所得国と認められています。ここから中所得国に転落したらそれは「中所得国の罠」とはいわないでしょう。
しかし、この記事の真に面白いのは結びの部分です。
(前略)
現在、韓国はMSCI指数を除いて先進国に属する。今後懸念されるのは先進国の罠に陥るという警告だ。
先進国の罠が懸念される代表的な国家は日本だ。
政治、行政規制、国家負債、グローバル、ジェンダーなど5つの分野の後進性のためだ。私たちも同じ問題を抱えている。
来月に行われる大統領選挙に向かって走る候補たちは「韓国経済の新危機論」に注目しなければならない。
誰が当選しても今年05月に発足する次期政府の運命を左右する重大な問題だからだ。
(後略)
「韓国はMSCI指数を除いて先進国に属する」という認識がまず面白いのですが、なぜか突然日本が引き合いに出されます。
韓国は日本と同じく「政治・行政規制・国家負債・グローバル・ジェンダーの後進性」という問題を抱えているそうです。
日本はともかく、韓国はドボンになる可能性がまだあります。記者さんが挙げていらっしゃる5つの後進性ではなく、政府負債・家計負債・貿易収支の赤字化・経常収支の赤字化・対外負債の急増といったものがその要因として考えられます。
こういうシナリオはいかがでしょうか。
①韓国がドボン寸前となって再び『IMF』管理下に入る。次期大統領は『IMF』の要求を全て飲まされる。⇒金大中(キム・デジュン)大統領がたどった道
『IMF』は二度と韓国を助けないといわれていますが、新大統領が親米だった場合、韓国の経済的危機にかこつけて自由主義陣営にとどめるために『IMF』経由で韓国を支援する可能性はゼロではないと考えます。
②韓国がドボン寸前となって中国共産党の管理下に入る。次期大統領は中国の要求を全て飲まされる。⇒新しくて古い道
新大統領がまた親北・親中だった場合には、アメリカ合衆国と『IMF』はさじを投げて助けず、中国が支援する可能性が高まります。この場合には、韓国は晴れて中国共産党の支配下に入り、中国の衛星国となるでしょう。
(吉田ハンチング@dcp)