「スタグフレーション」とは、景気後退とインフレ(物価上昇)が同時に起こるという最悪な状況のことです。
普通なら、
・景気が悪くなって需要が落ち込み、物価が下がる
のどちらかで、景気後退と物価の上昇は同時には進行しません。しかし、外的要因による生産コストの上昇が物価の上昇を引き起こすといった場合などには起こり得るのです。
――で、韓国がまさにスタグフレーションに突入したのではないか、という指摘が出ています。
『ソウル大学』のチャン・ヨンソン経済学部教授は2022年02月10~11日に開催される「2022経済学共同学術大会」で発表を行うのですが、韓国ではフィリップス曲線が右上がりだというのです。
フィリップス曲線は縦軸に物価上昇率を、横軸に失業率を取るとその関係は右下がりになるという曲線のことです。
つまり、一般には失業率が低くなると物価は上がり、失業率が高くなると物価は下がるという関係性を示しています。
以下に本件を報じた『韓国経済』記事の一部を引きます。
「韓国の消費者物価水準が思ったより深刻です。政府・中央銀行が注いだ流動性と原材料・製品サプライチェーンが毀損されたことにより、スタグフレーション(景気低迷の中での物価急騰)の可能性が大きくなっています」
(中略)
チャン教授はスタグフレーションの兆しとして右上がりのフィリップス曲線を提示した。
(後略)
記事には具体的な「韓国でのフィリップス曲線」が示されていないので、学会での公表を待つしかないのですが、実際に右上がりになっているとすれば異常事態です。
「物価上昇と失業率の上昇が同時に起こっている」ことになります。
しかし、韓国がそうなる要因は複数思い当たるのです。
①資源価格・資本財の高騰によって生産コストが急上昇していること
②韓国では景気の好悪を問わず賃上げ交渉が行われていること
③通貨価値が下落していると同時に景気が後退していること
というわけで韓国はスタグフレーションに突入する(or した)のかもしれません。チャン教授の発表の詳細が分かったらまたご紹介するようにいたします。
(吉田ハンチング@dcp)