韓国政府与党『共に民主党』の統一大統領候補は李在明(イ・ジェミョン)さん(下掲写真)になりましたが、韓国でも「このままだとまずい」と考えるメディアもあるようです。
例えば『毎日経済』には「『李在明はやります』が怖い理由」という記事が出ています。
「李在明(イ・ジェミョン)はやります」は統一大統領候補となった際に李さん自身が述べた言葉ですが、「このままではマズイ」と考えるメディアからすれば「できればやらないでいただきたい」といったところでしょう。
また、何が怖いのかというと、李さんの大統領公約です。落語の「まんじゅう怖い」ではありません。本当に怖いのです。
すでに500ページの公約集を出している
日本ではあまり報じられていませんが、李在明(イ・ジェミョン)さん(選対本部)は『共に民主党』の政策委員会に500ページにも及ぶ「分野別公約集」を、2021年10月19日に提出済みです。
この公約集は、
統一外交
政治行政
社会
文化芸術
コロナ19の克服
公正成長
バランス発展
不動産
外交安保
国防
教育
労働
などの分野・項目が盛り込まれている、とのこと。
李さんの第1号の公約は「転換的公正成長」と呼ばれています。
「韓国社会には極限の競争と葛藤が根づき低成長の原因となっており、そのため機会不足を生じている」という認識を持っているとのこと。
「エネルギー転換、技術革命に伴うデジタル転換時代には危機と同時に機会がある」と認識を示しています。
具体的に何をするのかよく分からないのですが、「未来産業に対する政府主導の大々的な投資、規制の合理化」などを行うそうです。お金を突っ込むというのは分かりますが、未来産業というのが具体的に何を指しているのかは不明です。
李大統領になったら北朝鮮を支援する
南北統一・外交については、北朝鮮に対する条件付き制裁緩和、段階的同時行動の非核化を提唱しています。要は、北朝鮮の非核化のためのスケージュールを決め、マイルストーンごとに北朝鮮と国際社会(韓国)が同時に行動を起こすというものです。
しかし、条件付き制裁緩和を行うかどうかは、実質的にはアメリカ合衆国が決めますので、韓国の大統領には関与できません。
現在、合衆国は「条件付き制裁緩和」については全くの後ろ向きで、これに同意する可能性はまずありません。クリントン、オバマ大統領時代に北朝鮮にだまされたので当然のことです。
また段階的に非核化を行うというスケジュールも韓国が独断で決められません。ですから、この公約については韓国の大統領候補が実現可能性のほぼないことを勝手に述べているだけです。
それよりも次期大統領の有力候補が「制裁緩和したい」という態度であることの方が問題です。
極左といわれますので当然かもしれませんが、李さんが大統領になっても親北政権を作り、北朝鮮のために働くつもりであることが分かります。
さらには、「開城(ケソン)工業団地、鉄道・道路の連結および現代化などの履行のために国連に包括的・常時的制裁免除を説得する」としています。
「開城工業団地」は韓国が北朝鮮を援助するために造ったものですが、読者の皆さまもご存じのとおり、2020年06月16日、金正恩総書記の妹、金与正さんが主導して共同連絡事務所が爆破されました。これを復活しようというのです。
また、現在の文政権もなんとか北朝鮮と鉄道を連結するべく努力をしきたのですが、李さんもこれを継続するようです。
しかしながら、実はこれは北朝鮮が否定していますので、道路の方はともかく、鉄道連結が実現する可能性はほぼありません(なぜ北朝鮮が頑強に拒むのかの意外な理由については『三階書記室の暗号 北朝鮮外交秘録』に書いてあります)。
李在明(イ・ジェミョン)といえばベーシックインカム
さて、李在明(イ・ジェミョン)さんの公約といえば「ベーシックインカム」。先にMoney1でもご紹介したとおり、李さんは以下のようなベーシック・インカムを提案しています。
19~29歳:125万ウォン/年
(1年に約12万円を支給)
それ以外の国民:25万ウォン/年
(1年に約2万4,000円を支給)
2024年~
19~29歳:200万ウォン/年
(1年に約19万2,000円を支給)
それ以外の国民:100万ウォン/年
(1年に約9万6,000円を支給)
国会予算政策処の試算によれば、このベーシックインカムを実現するのに「50.5兆ウォン」(約4兆8,480億円)かかります。
韓国の政府予算(支出)は文政権のおかげで600兆ウォンを超えています。どんなによく見積もっても税収で見込めるのは400兆ウォン。つまり支出の2/3です。
つまり、とてもではありませんが、李さんの新たなベーシックインカムを支えることなどできません。
この支えられないという事実は、メディアでも指摘しています。
「財源を考えていない」という批判を意識したのか公約では「現在租税減免を行っている部分を縮小(つまりは増税)して25兆ウォンを捻出」、「国土保有税を新設して50兆ウォンを追加する」などと述べています。
「ベーシックインカムを給付するために増税しよう」というのです。
国土保有税の新設については、「租税の新設については抵抗が大きいだろうが、徴収税全額を国民に均等支給する目的税として新設すれば、80~90%国民は払う税よりも受け取る基本所得が多いだろう」としています。
上掲のような、月額にして1万円にもならないような金額を基本所得と称し、そのために増税するというのです。
増税しても受け取る金額の方が多くなるとしています。どういう計算で受け取る金額の方が多くなるのか、いくら受け取れる(はず)なのか明らかになっていませんが、恐らくお小遣いぐらいにしかならないでしょう。
増税されて毎月のお小遣いをもらう――などというばかな話を韓国の皆さんは「了」とするのでしょうか?
製造業が打撃を受ける「新税」も導入する
その上、「トン当たり5万ウォン(約4,800円)」の炭素税を導入する、としています。
これによって30兆ウォン(約2.9兆円)を確保して、その一部も基本所得に使おうというのです。
いうまでもありませんが、この新税で打撃を受けるのは製造業です。李さんの公約は韓国の屋台骨を支える製造業からお金を絞って、基本所得をまこうというものなのです。さすが極左的人物の公約といえるでしょう。
いよいよ本性を現しつつある李候補
というわけで、李候補の公約で「これは」と思われるものをピックアップしてみましたが、端で見ているだけの日本人からしても「本当にこの人を大統領にするんですか?」と思わざるを得ません。
他にも、公約ではないとしながらも、「不動産による不労所得を禁止する」「飲食店の過当競争をなくすために飲食店許可総量制を導入する」などのプランについて語り、韓国でも物議を醸しています。
「不動産による不労所得を禁止」ということは、不動産に投資させないわけですから、ある意味「資本主義の否定」です。
「高位公職者には必須不動産以外を株式のように白紙信託する制度を導入する。全て売るか、委託して強制売却する制度」といった話もしています。
このように李さんは、文在寅大統領が霞むかのような公約とポリシーを掲げています。韓国の皆さんは、本当にこのような人物を大統領に選ぶのかですか?
(吉田ハンチング@dcp)