いささか古い表現になってしまいましたが「ミセス・ワタナベ」という言葉があります。日本人の主婦を中心とした女性やサラリーマン投資家のことを指す言葉で、欧米の報道機関で使われたのが語源とされています(ミセスとは名ばかりでほとんどが男性といわれます)。
韓国でも奥さまが投資をすることは多いようで、韓国メディア『韓国経済』に興味深い記事が出ています。内緒で株式投資をして多大な損失を被った方が多いというのです。
(前略)
30~40代の既婚女性が主に活動するマムカフェはパニックに陥りました。過去には子育てや不動産に関する記事が多かったのですが、最近では株式に関する記事が頻繁に登場しています。主に書けないほどの損失が出たという内容です。
韓国最大の女性コミュニティレモンテラスで活動するある投資家は「株式で1億ウォン以上の損失を見て精神科に通っている。薬を飲んで相談するとちょっと良くなるが、ふわふわ考えが上がる時がある」と吐露しました。
(中略)
夫にこっそり用意した「秘密資金」が塩漬けになってしまった事例もあります。
あるレモンテラス会員は「秘密資金を『サムスン重工業』と『HMM』に8:2の割合で投資したが、3,000万ウォンの損失を見ている」とし「昨年、株式を売ってエルメスのバッグを買っておかなかったことを後悔している」と話した。
(後略)
1億ウォン(約960万円)飛ばして精神科に通う羽目になった、3,000万ウォン(約288万円)の含み損を抱えて塩漬けになっているといった書き込みが紹介されています。
もう一段階の下げが懸念されていますので、現在も株式を保有している場合にはさらに損失が膨らむかもしれません。「いつ投資したのか」が書かれていませんが、韓国の個人投資家が最もお金を突っ込んだのは2021年01月であることが分かっています。
以下のチャートをご覧ください(チャートは『Investing.com』より引用:月足)。
2021年01月は長い上ヒゲが出て戻りました。02月以降も株価は上昇しましたが、06月に天井を作って後は下落トレンド。「今ココ」がはるか下ですので、01月から06月にかけて資金を突っ込んだ方は軒並み含み損を抱えているわけです。
記事内に『サムスン電子』と『HMM』に投資したという記述がありますが、両社の株価を確認してみると以下のようになります(チャートは『Investing.com』より引用:日足)。
まず『サムスン電子』。
『サムスン電子』は韓国では国民株といわれる銘柄ですが、最近は良くありません。再び7万ウォンを割らないか懸念されています。
次に『HMM』。
『HMM』は珍しいプライスアクションを見せた銘柄です。コロナ禍による暴落もさほどではなく、天底からの戻りが緩やかに始まって急激に上げました。しかし、現在の株価はやはり良くありません。
含み損を抱えている、ナンボ飛ばした――もうなずける株価となっています。ただ、これはあくまでも株価の通過点です。(信用取引で反対売買までの期限があるのでなく)現物保有であるなら、もう少し長い目で株価を見た方がいいかもしれません。もちろん、調整局面はこれから本格的に始まると考えられるのですが……。
(吉田ハンチング@dcp)