中国・湖南省「タリウム汚染」異常検知で緊急対応。

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中国湖南省の郴州市永興県において、流域で「タリウム」の濃度が異常に高まった状態が検知され、地方政府が緊急対応に乗り出す――というインシデントがありました。

以下が公告です。

永興県人民政府弁公室
突発環境事件IV級緊急対応の開始に関する通知

関係する各郷鎮人民政府、街道弁事処、市の永興県駐在関係機関へ:

2025年03月16日20時、永州市の郴州~衡陽市間「大河灘の水質観測地点」の地表水自動監視ステーションにおいて、タリウム濃度の異常が検出され、市をまたぐ汚染が発生し、下流の飲用水の安全が脅かされる事態となりました。

突発的な環境事件に科学的かつ迅速に対応し、社会の安定を維持し、下流住民の飲用水の安全および公衆の健康を確保するため、永興県人民政府は、2025年03月17日0時より、耒水流域(永興区間)において「突発環境事件IV級緊急対応」を開始することを決定しました。

関係各機関は速やかに行動を起こし、『永興県突発環境事件緊急対応予案(2019年改訂版)』(文書番号:永政弁発〔2019〕10号)に基づき、関連する緊急対応措置を全面的に実施してください。

永興県人民政府弁公室
2025年3月16日

タリウムは非常に有毒な物質です。経口(飲料水・食品)、吸入、皮膚吸収などで摂取すると、

嘔吐、下痢、腹痛
脱毛(数日〜1週間後)
末梢神経障害(しびれ、運動障害)
視力低下・意識障害

といった緊急性症状を引き起こしますし、慢性毒性・長期影響もあります。日本の厚生労働省も「通知すべき危険物及び有害物」としています。

また、中国では特に湖南省・広東省・貴州省などの地域でタリウム汚染の前例があります。

2020年以降だけでも湘江水系で十数件発生しており、湖南省の「耒水」もその一例。2021年、中央環境督察チームが湖南省を「タリウム関連企業と廃棄鉱山が多すぎる」と名指しで批判したことがあります。

ただし、このIV級緊急対応というのは、緊急対応の中では一番低いレベルです。

『澎湃新闻』の報道によれば、今回の汚染元は「セメント生産企業」と特定された――とのこと。

当局の監視が十分に行われていないため、水が汚染される状況となっているのです。

(吉田ハンチング@dcp)

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