中国『恒大集団』のデフォルト問題が世界的に注視されています。『Bloomberg(ブルームバーグ)』『Reuteres(ロイター)』など経済一級紙がその動向について監視しています。
『恒大集団』の巨額社債未払い進行状況
現在のところ、『恒大集団』の態度としては、中国内向けの借金は(利払いや元本の減額などして)なんとか支払う方向(一部払いで勘弁してもらう)ですが、外貨建て、つまり海外向けの借金は飛ばす方向と見えます。
先にご紹介したとおり、2021年09月23日に到来したドル建て債券の利払い「8,520万ドル」は30日猶予期間があるのをいいことに支払わず、次の09月29日の「4,520万ドル」の支払いは行ったかどうか不明です。
少なくとも「支払った」という情報が出ていませんのでこちらも支払っていない線が濃厚です。
以下が利払いの期日とステータスです(ドル建てのみ)。
09月23日:8,353万ドル(約93.4億円)
⇒未払い(30日間の猶予あり)/デフォルト認定は10月23日
09月29日:4,750万ドル(約53.1億円)
⇒不明(恐らく未払い)
10月12日:1億4,813万ドル(約165.6億円)
10月30日:1,425万ドル(約15.9億円)
11月08日:8,249万ドル(約94.3億円)
12月28日:2億5,520万ドル(約285.4億円)
※元データは『日本経済新聞』報道で以下
⇒参照・引用元:『日本経済新聞』「中国・恒大、迫る巨額利払い 負債総額33兆円」
『恒大集団』が保証した債券でクロスデフォルト発生か
『ロイター』が報じて注目されているのが、『Jumbo Fortune Enterprises(ジャンボ・フォーチュン・エンタープライズ)』のドル建て債券「2億6,000万ドル」(約290.7億円)の支払いです。
『ジャンボ・フォーチュン・エンタープライズ』は、『恒大集団』傘下の本土不動産部門『恒大地産』がオーナーとなっているジョイントベンチャーです。
この債券に『恒大集団』が保証を与えているのですが(保証の内容は明らかになっていない)、元本返済日が10月03日(日)でしたが、実行できませんでした。
デフォルト(債務不履行)です。
しかし、日曜日でしたので、不払い確定は04日(月)。『ロイター』の報じるところによれば、「管理上または技術的な問題については5日間の猶予が認められている」とのこと。
ですから、04日に不払い確定、その5日後ですから、デフォルト確定は週明けの10月11日(月)と見られます(週末に入ってしまうので)。
で、この不払いが、例の「クロス・デフォルト」条項で『恒大集団』デフォルトに点火するのではないか――というのです。
そもそもクロス・デフォルト条項というのは、「他所でデフォルト起こしやがったらこの債券もデフォルトを起こしたとみなすからな」というものですが、なぜこんなものを入れるかというと、債権者がすぐに債権を回収する手続きに入れるようにです。
「はい、デフォルトを起こしましたね。お金をさっさと返してください」となるわけです。
というわけで、早ければ2021年10月11日(月)に、『ジャンボ・フォーチュン・エンタープライズ』のドル建て債券のデフォルト認定に伴い、クロス・デフォルトよって中国『恒大集団』が発行した他の債権をデフォルトに追い込むのではないか?――です。
また、『ブルームバーグ』の報道によれば、10月11日(上掲の日経新聞を基にしたデータでは「12日」となっている分)には、以下の支払いもあります。
2021年10月11日の支払い
「利率9.5%の社債」利払い:6,888万ドル(約77.2億円)
「利率10%の社債」利払い:4,250万ドル(約47.5億円)
「利率10.5%の社債」利払い:3,675万ドル(約41.1億円)
小計:1億4,813万ドル(約165.6億円)⇒参照・引用元:『Bloomberg』「Bonds Drop as Jumbo Creditors Yet to Be Paid: Evergrande Update」
というわけで、早ければ10月11日(月)には『恒大集団』の訃報を聞くことになるかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)