すでに読者の皆さまもご存じでしょうが、中国の商務部、統計局および中国メディアが「中国経済は回復している」との主張を強めています。
例えば、日本メディアでも「中国の2023年第3四半期のGDP成長率は前年比4.9%増加」と報じられました。これは2023年10月18日に中国の統計局が公表した数字を基にしています。
確かに、統計局は「4.9%」としました。
しかし、故李克強前首相が明かしたとおり、中国が公表するGDPの数字はアテにはなりません。
2023年10月27日、中国の統計局は「2023年1—9月份全国规模以上工业企业利润下降9.0%」というプレスリリースを出しました。以下をご覧ください。
01月から09月までの指定規模以上の工業企業の総利益は5兆4,119億9,000万人民元で、前年同期比9.0%減少し、減少率は01月から08月までに比べて2.7ポイント縮小した。
01月から09月にかけて、指定規模以上の工業企業のうち、
国有企業の総利益は1兆8,477.0億元で前年同期比11.5%の減少、
持株企業の総利益は3兆9,623.7億元で前年同期比8.7%の減少、
外資・香港・マカオ・台湾資本の企業の総利益は1兆2,878.1億元で前年同期比10.5%の減少、
私営企業の総利益は1兆4,385.0億元で前年同期比3.2%減少した。
(後略)
※指定規模以上というのは「年間の主な事業収入(売上)が2,000万元を超える産業法人」を指します。
上掲のとおり、前年同期比での企業の利益は減少しています。国有企業など「11.5%」も減少しているのです。
以下は同資料内にあるグラフです。
上掲のとおり、対前年同期比で企業の総売上は低迷してヨコヨコ、営業利益の方はずーっと前年割れです。
確かに営業利益の方は、2023年01-02月の「-22.9%」と比較して、「01-09月:-9.0%」とマシになってきていますが、それでも対前年でマイナスであることに変わりはありません。
で、やっぱりこう聞きたいところです。
「中国の2023年第3四半期のGDP成長率は前年比4.9%増加した」は、本当ですか?
(吉田ハンチング@dcp)