韓国へのTHAAD配備問題が中韓であらためて争点になっています。
中国は韓国にメンツを潰されるわけにいかない
2022年08月09日に、中韓の外相会談が終わった直後に両国共にプレスリリースを出しましたが、「あっ、あいつ三不の誓いをウヤムヤにしようとしていやがるな」と察知したためでしょう、中国はTHAADについてのプレスリリースも出し、中国外交部のブリーフィングでも「三不一限」に言及する始末。
韓国は「約束でも合意でもなく、THAAD配備については中国に相談することではない」とガラをかわそうとしていますが、中国の方は「必死だな」と形容していいような執拗さを発揮しています。
これで、もし韓国が本当に「THAAD基地を08月末に整備」し終えたら、中国のメンツは丸つぶれになるからです。
ペロシ下院議長が訪台して全世界的に赤っ恥をかいたので、ここでまた韓国が中国のいうことを聞かないとなると、中国の顔はさらに潰れます。
このTHAAD問題は、どちらかというと中国の方が分が悪いのかもしれません。もし韓国が後先考えずに中国の言うことを無視できるのであれば、ですが。
脅迫を忘れない中国メディア
中国は外交部の公式サイト、また中国共産党の御用メディアでは、韓国が言うことをきくように圧力をかける文を出し続けています。
例えば、2022年08月12日には英語版御用新聞『Global Times』には、「THAAD issue should not be stumbling block in China-S. Korea relations again: analysts」という記事が出ました。
以下に注目部分を引用します。
(前略)
THAADの配備に関連する話題は、ここ数週間、より注目を集めている。中国は、韓国の朴振(パク・ジン)外相が07月に国会で「三不は中国への約束ではない」と発言した後、尹政権に対し、THAADについて先の文在寅政権の「三不」政策を守り、近隣諸国の安全保障に関する主要問題については慎重に行動するよう求めていた。
以前、2016年に韓国がTHAADの配備を発表した際、中韓関係は大きく損なわれた。
韓国の尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が大統領選挙でTHAAD配備を公言して以来、アナリストは、中国国民の怒りを買ったことから、尹氏はこの問題の深刻さを理解すべきであり、韓国は合衆国に追従するために国益を犠牲にしてはいけないと警告している。
(後略)
先のTHAAD配備を決定した際に、中国は韓国企業に対して嫌がらせを行い、ロッテグループの店舗が次々閉鎖に追い込まれるなどしました。
いわゆるTHAAD事態ですが、「中韓関係は大きく損なわれた」とまるで自分も被害にあったような書きようをしています。
「お互いが被害に遭った」のではありません。中国が一方的に韓国をいじめたのです。
これは「あのときは大変だっただろう?」と韓国に当時の被害を思い出せるような、いやらしい書きぶりで、まるで反社のような脅し口調です。
警告と書いていますが「韓国は合衆国に追従するために国益を犠牲にしてはいけない」は明らかに脅迫です。
「三不一限を守らなければ国益を損なうぞ」といっているのと同じだからです。
つまり中国は、韓国が中国のいうことを聞かないなら、THAAD事態のときのように国益を損なうような状況に追い込むつもりが十分にあるわけです(中国共産党の御用新聞の社説なので中国共産党自身が言っているのと同じです)。
さて、韓国政府はどう動くでしょうか。脅迫にもめげず08月末にTHAAD基地を完成させるでしょうか。ご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)