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【残念】韓国は瓶詰め作業を担当するだけ。『モデルナ』とのワクチン製造契約の中身

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韓国メディアは「『サムスンバイオロジクス』と『モデルナ』はコロナウイルスワクチンの委託生産契約を締結した」と報道し、「技術移転などを経て第3四半期から韓国で生産が始まる」となっています。

しかし、これはミスリードを誘う書き方です。

アメリカ合衆国『moderna(モデルナ)』がmRNAワクチンの製造技術を韓国『サムスン・バイオロジクス』に開示するかのように読めるのですが、事実はそうではありません。

以下は『モデルナ』が2021年05月22日に公表した韓国との合意についてのプレスリリース(PDF版は2P)です。

まずタイトルが、

Moderna and Samsung Biologics Announce Agreement for Fill-Finish Manufacturing of Moderna’s COVID-19 Vaccine

『サムスンバイオロジクス』と『モデルナ』はCOVID-19ワクチンの無菌製造に関する契約を締結

です。

無菌製造Fill-Finish Manufacturing)という耳慣れない言葉が使われています。

これはバイオ、製薬関連産業ではポピュラーな言葉で、当然ですが、これらの産業では製造した医薬品が劣化しないように無菌でパッケージングしなければなりません。医薬品、容器になるバイアル、クロージャーを減菌し、クリーンルームで充填、組み合わせる――そのためには独特の技術が要るのです。

実は、今回『サムスン・バイオロジクス』が担当するのは、この無菌製造の部分なのです。

これはプレスリリース本文に明確に書かれています。以下の部分です。

Upon execution of the deal, technology transfer will commence immediately at Samsung Biologics’ facilities in Incheon, South Korea, utilizing a stateof-the-art production line equipped for aseptic fill-finish, labeling, and packaging services to support the production of hundreds of millions of doses of Moderna’s COVID-19 vaccine intended for the supply of markets outside of the U.S. starting in the third quarter of 2021.

本契約の締結後、韓国・仁川にある『サムスン・バイオロジクス』の施設では、無菌製造、ラベリング、パッケージングサービスを備えた最新鋭の製造ラインを活用し、2021年第3四半期から合衆国以外の市場に供給することを目的とした数億用量のModernaのCOVID-19ワクチンの製造を行います。

これをサポートするための技術移転は直ちに開始されます。

つまり、ワクチンの原液はあくまで『モデルナ』で製造し、これを韓国に運んで、

小さな瓶に無菌充填する作業
ラベルを貼る作業
梱包する作業

を『サムスン・バイオロジクス』が担当するに過ぎません。

つまり、ワクチンのボトリング(瓶詰め)を行うわけです。「原液の秘密は渡さないよ」というコカ・コーラみたいな話です。

ですから、これを「『モデルナ』から技術開示を受けてワクチン製造を韓国で行う」といっていいのかどうかは非常に疑問です。少なくとも、米韓首脳会談前に望んでいたことではないでしょう。

無菌瓶詰めの技術は教えてくれるかもしれませんし、ワクチンの完成品が国内で作られるのは確かですが、韓国にとってはそれでも喜ばしいことなのでしょうか?

(吉田ハンチング@dcp)

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