アメリカ合衆国が中国『Huawei(ファーウェイ)』(華為技術)を制裁リストに加え、半導体を入手できないようにした2020年09月辺りから世界の風向きは変わりました(危険性はそれこそ2012年ごろから識者によってすでに指摘されていました)。
中国企業の製造した機器をインフラに使用するのは安全保障上のリスクであると認識する国が増えたのです。
今、北欧のスウェーデンが『ファーウェイ』の通信機器を自国の通信インフラから締め出そうとしています。
ことの起こりは、Money1でもご紹介しましたが、2021年10月の『スウェーデン郵便通信局』(Swedish Post and Telecom Authority:略称「PTS」)が5Gの電波オークションに参加している通信業者に出した、
この決定はスウェーデン軍および治安当局の評価を基にしている
という通達です。これに対して2021年01月、『ファーウェイ』は上告。06月の中旬までには当局から判断が出る模様です。これでスウェーデンから『ファーウェイ』製の機器が締め出されるのかどうかについての決定が一段落します。
※以下は2020年10月の記事です
中国御用新聞も『ファーウェイ』を心配している!
面白いのは、『ファーウェイ』の上告について中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』が心配して記事を出していることです。
以下に記事の冒頭部分を引用します。
スウェーデンの裁判所が、同国における『ファーウェイ』の運命を決めるかもしれない判決を検討している中、中国のアナリストは、スウェーデンは他の欧州諸国とともに、合衆国の要請によるファーウェイの禁止が自国の企業を傷つけ、5G分野での役割を低下させる可能性があることを認識すべきだと警告しました。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「Sweden warned not to fall into US ‘trap’ to ban Chinese firms」
冒頭からスウェーデンに警告を発しています。つまり脅しです。なぜ『ファーウェイ』製機器を排除することがスウェーデン企業を傷つけることになる、と御用新聞が述べているかというと、
という動きをする予定だからです。実際、同記事では以下のように述べています。
(前略)
5月10日、『環球時報』は情報筋の話として、『ファーウェイ』の騒動の後、中国における『エリクソン』の運命も危うくなり、スウェーデンは、『ファーウェイ』などの中国企業を同国の5G建設への参加から排除するという誤った決定を撤回する最後のチャンスに直面していると伝えた。
(後略)
これは、もしスウェーデンが『ファーウェイ』を排除するという決定をするなら中国も『エリクソン』を排除する――と脅迫です。中国共産党当局がスウェーデン当局の決定をいかに恐れているかを示しているといっていいでしょう。ネットスラングでいうなら「効いてる、効いてる」です。
スウェーデンの決定がどうなるのかにご注目ください。あと2週間ほどで結果は出ます。
(吉田ハンチング@dcp)