前回は、ジェラルド・アペルが考案した「MACD(マックディー)」という指標(INDEX)についてご紹介しようとしましたが、「指数平滑移動平均」(以下、略称のEMAを使います)の説明で終わってしまいました。
EMA(指数平滑移動平均)はMACDを計算するための基になりますので、まずEMAについて理解していないと、MACDについての説明がチンプンカンプンになってしまいます。もう少しEMAについての説明にお付き合いください。
■SMA(単純移動平均)とEMA(指数平滑移動平均)の違いは!?
株式銘柄の株価変動を表すチャートには、ほとんどの場合デフォルトで「移動平均」線が表示されます。例えば、以下のように「移動平均」線が表示されますね。
特に説明がない場合、この「移動平均」は普通「単純移動平均」(以下、略称であるSMAを使います)です。これまでに説明しましたが、SMAは直感的に分かりやすいINDEXですが、直近のある期間内、例えば25日間の株価の単なる平均値を算出しているだけですので、短期的な株価の動きを反映しにくいという弱点があります。
EMA(指数平滑移動平均)はこの弱点を補うことができます。詳細な計算方法は前回の記事を参照していただければ良いですが、EMAには、
●直近の株価を重視して計算
●過去の株価の影響を減少させながらも取り入れて計算
という特徴があります。二番目の過去の株価の影響の計算に用いられるのが、前回紹介した「α」(指数定数)です。より難しくいうと、それぞれの株価を指数関数的に重み付けを行い(減少させて)、平均値を計算しているのです。
この「指数関数的」が英語で「exponential」です。そのためこのINDEXは「Exponential Moving Average」と名付けられているのです。
EMAをチャート上に表示すると下のようになります(SMAを表示していない状態です)。
EMA(指数平滑移動平均)を「○日間」で計算するのかは難しい問題で、それぞれのトレーダーによって推奨する日にちが異なっています。ちなみにアメリカでは「200日間」のEMA線を使用する人が多いようです。また、上記のとおり日本では「移動平均」のデフォルトはSMA(単純移動平均)ですが、海外では「EMA」を指すことが多く、またEMAの方が広く使われています。
SMAとEMAを同時に表示してみましょう。期間はどちらも「25日間」です。
また、
●前日のEMAより当日の価格が上なら、当日のEMAは必ず上昇する
●前日のEMAより当日の価格が下なら、当日のEMAは必ず下落する
という点も記憶しておくべきでしょう。
移動平均には、他に「加重移動平均」というINDEXもあるのですが、これはひとまず置いて、次回は「MACD(マックディー)」についてご紹介します。
(高橋モータース@dcp)