移動平均の一つで、有効な指標(INDEX)「指数平滑移動平均」(以下、略称のEMAを使います)の説明が長すぎましたが、EMAがどんなものなのかは大づかみにでもご理解いただけたのではないでしょうか。今回こそ「MACD(マックディー)」についてご紹介します。
MACDは、自身もトレーダーであるジェラルド・アペルによって考案された、EMA(指数平滑移動平均)を基にしたINDEX。
まず言葉の意味を説明してみます。面倒くさかったら下の6行ばかりはすっ飛ばしてください。
MACDは、「Moving Average Convergence-Divergence」の頭文字を取ったものですが、「moving average」は「移動平均」、convergence(コンバージェンス)は「収束」、divergence(ディバージェンス)は「発散」という意味です。
複数の(指数平滑)移動平均(線)の「収束」と「発散」を見て、株価変動のトレンドを捉える、それがMACDなのです。
■短期・長期のEMAの差を取る!
では、具体的にどうするのかをご紹介します。
短期のEMA(指数平滑移動平均)と、長期のEMAの差を取ります。式で表すと、
MACD = 短期EMA - 長期EMA
です。アペル自身は自著内で「12日」と「26日」のEMAをチャート上に表示して説明しています。この場合は、
MACD = 12日EMA - 26日EMA
になります。この式だけでは何のことだか分かりませんが、この結果をチャートにプロットしてみるのです。
↑アペルの自著ではこのようなチャートでMACDのコンセプトを説明しています。『アペル流テクニカル売買のコツ』(パンローリング社刊/原題:Technical Analysis:Power Tools for Active Investors)P.257より引用。
■短期EMAラインと長期EMAラインの差から何が分かる!?
ディーエヌエー(銘柄:2432)の2016年7月12日-2017年1月10日のチャートを用いて、を確認してみましょう。上のロウソク足チャートに表示されているのは、5日間の短期EMA(指数平滑移動平均)ラインと、25日間の長期EMAラインです。
短期のEMA(指数平滑移動平均)は、長期EMAよりも速くトレンドに反応して動きます。ですから、直近の株価が上昇傾向(アペル自身は強気と表現している)であるなら、より長期の株価を反映している長期EMAラインよりも、(過去より価格が上昇しているのだから)短期EMAラインの方が上にくるはずです。株価が大きく上昇トレンドを描けば描くほど、グラフは0のプラスに大きく振れ、アペルの言葉でいう「より強気」ということになります。
また、もし直近の株価が、過去の株価と比較して下落傾向(アペル自身は弱気と表現している)にあるのであれば、それを速く反映する短期のEMA(指数平滑移動平均)ラインは、より長期の株価を反映している長期EMAラインよりも、(過去よりも株価が下落しているのだから)下にくるはずです。マイナスの数値が大きいほど、グラフは0からマイナスに大きく振れ、アペルの言葉では「より弱気」ということになります。
短期EMAと長期EMAの線がクロスする点では、差が「ゼロ」ということですから、短期のトレンドと長期のトレンドの一時的な均衡点を示しています。
MACDは二つのEMAラインの差を計算し、ロウソク足の下にあるチャートのようにグラフ化されています。センターに「0」の目盛りがあって、それがロウソク足チャートの二つのEMAラインのクロスポイントと一致しているのがお分かりになるでしょうか?
この短期・長期のEMAの差分と取って、トレンド判断に使おうというのはアペルの独創で、なかなか大したものです(バカな筆者が偉そうに褒めることではありませんけれども)。ただ、MACDはここからさらに「シグナル」というラインを引いて、さらに有力なINDEXとして機能するのです。この「シグナル」については次回でご紹介します。
(高橋モータース@dcp)