韓国という国について調べれば調べるほど、1997年に起こった「アジア通貨危機」によってドボンになった経験が現在に大きな影響を与えていることが分かります。
1997年のデフォルトは経済面だけではなく、社会構造や国民の意識にも変化を与えました。識者(春木育美先生:後述)によれば、このデフォルトは女性の社会進出の契機にもなったとのことです。
それまで韓国では、男性が外で働き、女性は主婦となり家を守るという「片働きモデル」だったのですが、1997年のデフォルトによって大不況が韓国を襲い、男性がリストラや失業によって稼げなくなってしまいました。
これが「女性の社会進出を促す起爆剤となった」※のです。
結婚相手を探すのではなく、とにかく職に就くことを優先する、と女性の意識は変わりました。男に任せておくと食べていけない!というわけです。
少し長いですが、『アジ研ワールド・トレンド 226巻』に掲載されている春木育美先生の「結婚にみる韓国社会の変化 (特集 途上国の出会いと結婚) 」から引用します。
(前略)結婚よりも安定した職に就くことが優先事項となり、「結婚適齢期」に対する意識が変わった。
それまで娘の学歴について、より良い相手と結婚するための条件と考えていた親も、莫大な教育費を投資したからには、性別にかかわらず学歴に見合う仕事に就き、経済的に安定してほしいと切望するようになった。
いま(この論考の発表は2014年:筆者注)や二〇代の韓国女性の八割近くが大卒者(二~三年制の専門大学を含む)と高学歴者となり、学歴に見合う仕事をし、キャリアを積みたいと考える女性は増えた。結婚や出産後も働き続けることは、男性配偶者が職を失ったときのリスクヘッジになる。
しかし、性別役割意識は根強く残り、家事労働、育児や介護などのケア負担は、女性に重くのしかかったままである。結婚後に課せられる負担の大きさや、家庭と仕事の両立の難しさを考えれば、以前ほど結婚自体に魅力を感じない女性が増えても不思議ではない。
⇒参照・引用元:『アジ研ワールド・トレンド 226巻』(日本貿易振興機構アジア経済研究所,2014年07月)「結婚にみる韓国社会の変化 (特集 途上国の出会いと結婚) 」著・春木育美,pp4-7
※も上記より引用。
アジア通貨危機時のデフォルトは、韓国女性の意識を大きく変え、それが現在までつながっているのです。韓国では晩婚化・未婚化が進み、これが出生率の低さにつながっているといわれますが、その原因をたぐっていくと1997年のデフォルトに突き当たるのです。
(柏ケミカル@dcp)