韓国の航空産業の件です。『大韓航空』と『アシアナ航空』は合併に向かって走っていますが、LCC(格安航空会社)の方は取り残されており、赤字経営が続いています。
業績低迷が続くLCC4社
先にご紹介しましたが、株式を上場しているLCC4社の上半期は業績は以下のように全社赤字です。しかも第1四半期から第2四半期へと赤字幅が拡大しています。
2021年上期(連結)
●『済州航空』
総売上高:1,158.0億ウォン(約108.9億円)
営業利益:-1,568.0億ウォン(約-147.4億円)
当期純利益:-1,337.6億ウォン(約-125.73億円)●『ティーウェイ航空』
総売上高:920.9億ウォン(約86.6億円)
営業利益:-796.6億ウォン(約-74.9億円)
当期純利益:-794.9億ウォン(約-74.7億円)●『ジンエアー』
総売上高:1,073.3億ウォン(約100.9億円)
営業利益:-1,088.6億ウォン(約-102.3億円)
当期純利益:-1,225.2億ウォン(約-115.17億円)●『エア釜山』
総売上高:796.4億ウォン(約74.9億円)
営業利益:-966.6億ウォン(約-90.9億円)
当期純利益:-1,103.2億ウォン(約-103.7億円)
負債比率で借金の規模を見てみよう
借金の規模を確認するために負債比率を見てみます。負債比率は、
で計算します。
なぜこんなものを計算するかというと、今ある自己資本で負債を返せるのかが分かるからです。負債比率が100%であれば、負債量と自己資本量が同じで、今破綻しても借金は返してもらえるだろう、と当たりがつけられます。
しかし、これが200%だったら? 自己資本量の2倍の負債があるわけで「貸したお金は返ってくるのかなぁ」と思うでしょう。
負債比率は何%ぐらいが適正かは諸説あるのですが、韓国メディアの報道を見ていると、どうも韓国の場合は「200%」を超えると問題視するようです。
LCC上場4社の負債比率は以下のようになります。
『済州航空』:1,157%
『ティーウェイ航空』:529%
『ジンエアー』:資本蚕食で計算できず
『エア釜山』:1,719%
『エア釜山』は資本量の17.2倍、『済州航空』は11.5倍、『ティーウェイ航空』は5.3倍の負債があり、『ジンエアー』に至っては資本蚕食に陥って資本量がマイナスになり、負債比率が計算できません。
コロナ禍によって人の移動が制限されており、旅客が増えず、そのため赤字が続くわけですが、感染の再拡大によってコロナ前まで旅客が増加するのは当分無理と見られます。
赤字が続き、キャッシュが出ていくばかりでは会社は持ちません。
4社とも有償増資、永久債の発行などでキャッシュを輸血していますが、そんなことをいつまでも続けることはできません。
資金獲得の手段が細ったところでまた危機が訪れると予想されます。航空産業の危機的状況は韓国に限った話ではありませんが、とにかく韓国のLCCの経営は危ない飛行を続けています。
(吉田ハンチング@dcp)