韓国の借金の話など、読者の皆さまも耳タコかと思われますが、そもそも韓国メディアでこのような話題が尽きないのです。
例えば、『毎日経済』には「返済しても返済しても増える借金…韓国元利金返済負担・増速世界2位」という記事が出ました。これは「DSR」について注目したものです。
記事では以下のように書いています。
(前略)
17日、『国際決済銀行』(BIS)の資料によると、昨年の韓国の家計部門の総負債元本返済比率(DSR-Debt service ratios)は13.6%で、これは調査対象の世界主要17カ国のうち、オーストラリア(14.7%)に次いで2番目に高い水準だ。DSRは所得に対する債務の元利返済負担を示す指標で、DSRが高ければ、所得に比べて債務返済負担が大きいことを意味する。
(後略)
『毎日経済』は『BIS』のデータを引いていますが、実は数字が合いません。『BIS』の直近のデータでは、韓国の家計のDSRは「2022年12月末時点:14.3%」です。
以下をご確認ください。
ただし、韓国がオーストラリアについでDSRの数値が高いということは本当です。直近のデータでも、DSRが高い順に並べると以下のようになります。
家計部門のDSR(2022年第4四半期時点)
オーストラリア:16.3%
韓国:14.3%
カナダ:13.8%
ノルウェー:12.9%
オランダ:12.6%
デンマーク:12.5%
スウェーデン:12.5%
イギリス:8.6%
フィンランド:7.7%
アメリカ合衆国:7.7%
日本:7.5%
ベルギー:7.3%
フランス:6.4%
ポルトガル:6.2%
スペイン:6.0%
ドイツ:5.9%
イタリア:4.3%
「借金を返しても返しても減らない」と書いているのは、DSRの推移を見ると分かります。
『BIS』のデータを基に「1999年第1四半期~2022年第4四半期」のDSR推移をグラフにしてみました。以下をご覧ください。
家計部門の「所得に対する債務返済金額の比率」はどんどん上がっています。
『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁も、家計負債について再び懸念を表明しています。Money1でもご紹介した済州フォーラムにおいて「(基準)金利を年3.5%に据え置いたら3カ月間で家計負債が増えた。家計負債が増加したのは長期的に大きな負担」」と述べているのです。
ただし、鈴置高史先生が指摘していらっしゃるとおり、韓国は家計負債が膨らみ過ぎていよいよ駄目だということになると、徳政令(およびそれに類するもの)を出して凌いできた国です。
徳政令が繰り返されればモラルハザードが起こり、「借金を返済しなければならない」という意識は薄れます。もともと「借金は返さなければならない」という意識は薄い国ではありますが。
(吉田ハンチング@dcp)