日本が「フッ化水素」を輸出管理強化品目にした理由について、「大量破壊兵器の製造に転用できるから」と説明されます。具体的にどのように使用される可能性があるのでしょうか。
「核」について見てみますと、フッ化水素は核燃料となるウランの濃縮過程で使われています。
ウラン鉱石から精錬していくわけですが、その過程で「イエローケーキ」と呼ばれるウラン含有量の多い粉末ができます。このイエローケーキには「ADU」といわれる「重ウラン酸アンモニウム」という物質が含まれているのです。
これを、核燃料の元になる「UF6」(六フッ化ウラン)という物質にまでもっていくのですが、その過程で「フッ化水素」が必要になるのです。
上掲が、「硫酸浸出法」によるイエローケーキの製造、「ADU」から「UF6」(六フッ化ウラン)までの一般的フローの化学式ですが、「4HF」とフッ化水素(HF)が使われているのがお分かりいただけるでしょう。
ただし、当たり前ですけれども、日本企業は半導体・液晶製造工程などで使われるためにフッ化水素を製造・輸出しています。だからこそ、要らんことに転用されるのを防ぐために「輸出管理」に踏みだしたのです。
⇒参照・引用元:『FH Münster(ミュンスター応用科学大学)』「Uran: Vom Erz zum Brennelement(ウラン:鉱石から燃料元素まで)」
https://www.fh-muenster.de/ciw/downloads/personal/juestel/juestel/Uran_vom_Erz_zum_Brennelement_Alexander_Zilke_.pdf
⇒参照・引用元:『原子力百科事典ATOMICA』「硫酸およびアルカリ浸出によるウラン粗精錬」
https://atomica.jaea.go.jp/data/pict/04/04040101/03.gif
(柏ケミカル@dcp)