中国、またぞろ「レアアース制限」か?

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中国がレアアースの生産を絞っているとの報道が出ました(2018年10月27日『ロイター』)。
自国で産するレアアースを戦略的な資源である、と位置づけたのは鄧小平(1904-1997年)です。鄧小平は「レアアースは石油と同じだ」と理解していました。20年以上も前のことです。ですから、中国が貿易戦争が激化する中でレアアースの制限を有効な一手と考えるのは当然でしょう。

アメリカは1億5,000万ドル相当のレアアースを中国から輸入しています(2017年)。これが絞られるとハイテク系、武器などの産業に大きな影響が出ます。

2010年には日本も中国にレアアースの輸出を止められ、苦しい状況となりました。しかし、中国以外の新たな調達国の確保、廃棄された製品からレアースを回収するリサイクル技術の開発、レアアースの代替材料の開発などに大車輪で取り組み、何とか凌ぎきりました。

何より大きかったのは、アメリカ合衆国・EUが中国の姿勢に反発し、日本と共にWTO(World Trade Organizationの略:世界貿易機関)に提訴し勝訴を勝ち取ったことです。中国は渋々レアアースの輸出制限を撤回しています。

今回の中国がレアアースの輸出を絞っているのを何とかしたければ、またWTOに提訴という手段がありますが、アメリカ・トランプ大統領がWTOを事実上骨抜きにしている現状で、果たして裁定がきちんと機能するのかという懸念があります。

Money1でもお伝えしたことがありますが、トランプ大統領の指示で「WTOの上級委員会で新たな裁判官の指名について拒否権を発動する」なんてことをしているのです。「アメリカ一強でありたい」と願うトランプ大統領のなりふり構わぬやり口が自分の首を締めることになるかもしれません。

(柏ケミカル@dcp)

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