大変に興味深いデータが出ました。『韓国貿易協会』の公表値によると、電気自動車強国と誇る韓国ですが、国内市場は中国産の電気自動車に蚕食されつつあります。
2023年01~10月の累計で韓国の電気自動車輸入額は19億4,500万ドル。対前年同期比で23.3%増加しました。
第1位 ドイツ……7億8,800万ドル
第2位 中国……5億3,800万ドル
第3位 アメリカ合衆国……4億5,900万ドル
となっています。まだ中国は第2位ですが、直近10月の輸入金額は以下のようになっています。
第1位 中国……1億7,200万ドル
第2位 ドイツ……7,000万ドル
第3位 アメリカ合衆国……1,000万ドル
驚くなかれ、中国産の電気自動車は合衆国産より17.2倍も売れています。直近4カ月の中国産電気自動車の輸入金額の推移を見ると以下のようになります。
07月はわずか「1,800万ドル」しかなかったのに、08月には「1億5,100万ドル」に跳ね上がりました。
↑「model Y」はロングレンジで航続可能(605km)な「パフォーマンスモデル」と後輪駆動の「RWDモデル」(航続距離507km)が用意されており、韓国では後者が大人気となりました。
何があったのかというと、中国にある『Tesla(テスラ)』のギガファクトリーからの輸入が激増したのです。「model Y」(後輪駆動の「RWD」)が韓国で人気を博したおかげです。従来モデルと比較して、韓国では200万ウォン以上安く買えること大きなアピールポイントとなりました。
実際、09月の売上だけ見ても「model Y」は4,206台を売っていますが、輸入車(電気自動車だけでなく内燃機関車も含めて)一番のセールスを記録。この4,206台のうち4,203台は安価なRWDモデルだったのです。韓国の皆さんの見栄っ張り具合が反映されているといえそうです。
『テスラ』はともかく、乗用車だけはなく商用車でも中国産の電気自動車はシェアを上げています。2023年10月、韓国内で最も売れた輸入商用車は中国『吉利汽車』の小型電気貨物車「セア」(SE-A2)でした。
↑中国『吉利汽車』のセア。車重は約1トンで小型の貨物自動車。
輸入商用車上位10モデルのうち6車種が中国ブランドだったのです。
中国メーカーが韓国市場を蚕食できるのは、韓国が電気自動車に出している補助金あってのこと。
中国は補助金を出すのをやめていますので、例えば上掲のセアの実勢価格は中国では13万1,800~15万4,800元(約276万7,800円~約325万800)。
ところが、韓国環境部の無公害車総合公式ホームページによると、セアを購入すると1,200万ウォン(約6万8,000元)の補助金が受けられます。これを適用すると、6万3,800元~8万6,800元(約133万9,800円~約182万2,800円)となります。
一気に半額ぐらいまで下がるわけで、中国産電気自動車は韓国の補助金を使って市場を食い荒らしているのです。今、EUは中国産電気自動車に対する調査(「追加関税をかけてやる!」が趣旨)を始めましたが、韓国も(できれば)イナゴのような中国産電気自動車を締め出す方策を考えた方がいいのです。
(吉田ハンチング@dcp)