韓国政府与党『共に民主党』が検察庁から捜査権を完全に剥奪する法律を強行成立させようとしています。
次期政権になってからでは、尹錫悦(ユン・ソギョル)新大統領に拒否権を発動されてしまう可能性があるので、なんとか文在寅大統領のうちに通そうというのです。
先にご紹介したとおり、これは次期政権になって現政権の瑕疵を検察に捜査されたくない一心のことと推測できます。
平たくいえば「監獄に行きたくない」というわけです。
検察は一斉に反発!
この法律が成立すると検察庁はただの起訴権を有するだけの機関になってしまいます。
文大統領の任期切れまで30日を切っているにもかかわらず、政府与党は卑劣にもこのような大きな変化をもたらす法律を通そうとしているのです。
本件は韓国では大ごとになっています。
まず、2022年04月12日、『共に民主党』は議員総会を開いてこの法案を04月の国会で処理することを党議決定しました。
検事たちは一斉に反発しており、捜査権剥奪の法案を撤回するように求めています。
ソウル中央地検は、同日、部長検事、次長検事に続き、副部長、検察官、一般職員も同法案に反対の立場を表明。
文政権べったりだった金浯洙(キム・オス)検察総長も反対に回りました。
金検察総長は「検察の捜査機能を廃止すれば、検察総長として職務を遂行することになんの意味もない。どんな責任を取ることも辞さない」と述べていますが、この人は文政権の不正疑惑を見逃そうとした人物なので、どこまで信頼できるのかは不明です。
与党の動きに対して、新政権側の『国民の力』は04月13日、法案についての緊急記者懇談会を開催し、非難しました。
↑13日午後、ソウル汝矣島国会院内代表室でクォン・ソンドン院内代表らが『共に民主党』の「検察捜査権完全剥奪法案」について関連緊急記者懇談会を開催。/ 2022. 4. 13⇒参照:引用元:『国民の力』公式サイト
仮に法案が国会本会議で強行可決された場合、なんとも皮肉なことに、阻止できるのは文大統領の拒否権だけです。
文大統領は拒否権を発動する?
大統領が拒否権を発動すると、法案は国会に差し戻され、過半数の議員の出席のもと、出席議員2/3以上の賛成があれば、その時点で法律として成立することになります。
定数300のうち、『共に民主党』議員は172人。2/3は満たしていませんので、大統領が拒否権を発動すれば、国会指し戻しで否決できそうです(『国民の力』の議員数は110人)。
さて読者の皆さま、『共に民主党』が強行可決させた場合、果たして文大統領は拒否権を発動するでしょうか?
任期の最後の最後で、初めて文大統領が矢面に立つことになるかもしれません。
だんまりを決め込み発動しなかったら「自分が監獄に行きたくないから悪法を通過させた」と一生いわれることになるでしょう。
筆者は、「それでも文大統領はだんまりを決め込む」方に賭けます。
(柏ケミカル@dcp)