定点観測です。2023年10月06日、『韓国銀行』は「2023年09月時点での外貨準備高」を公表しました。
2023年09月
外貨準備高:4,141億ドル(約61兆5,228億円)※
(前月比:-42億ドル)<<内訳>>
⇒Securities:3,726億ドル(約55兆3,572億円)
(証券類)
前月比:-64億ドル⇒Deposits:174億ドル(約2兆5,851億円)
(預金)
前月比:+26億ドル⇒SDRs:148億ドル(約2兆1,988億円)
(IMFのSDR(特別引出権))
前月比:-2億ドル⇒IMF position:45億ドル(約6,686億円)
(IMFリザーブポジション)
前月比:-1億ドル⇒Gold:48億ドル(約7,131億円)
(金)
前月比:増減なし※円換算は2023年10月06日「1ドル=148.57円」のレートで算出
当月の注目はSecurities(証券類)が「64億ドル」も減少していることです。現金たるDeposits(預金)は「26億ドル」増加していますが、Securities(証券類)を売却して得たはずのお金とは合いません。
前月までの推移は上掲のようでしたが、現金が増えたので、Deposits(預金)は天底圏から脱出しました。
韓国の場合、SDRs、IMFリザーブポジション、金について保有量は変化しませんので、注目しなければならないのはSecurities(証券類)とDeposits(預金)です。
Securities(証券類)が大きく減少し、Deposits(預金)が増加したので、外貨準備高全体では42億ドルの減少です。
当月の増減について、『韓国銀行』は以下のように説明しています。
ㅇその他の通貨外貨資産のドル換算額*の減少、為替市場のボラティリティーの緩和措置(国民年金との為替スワップによる一時的な効果を含む)などによるもの。
*09月中、米ドル化指数が約3.0%上昇。⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「2023年09月末時点の為替保有額」
毎度おなじみの「ドルが強くなったので、ドル以外の外貨資産のドル建て換算額が減少した」と述べていますが、これについては「そもそも時価計算してないだろ!」ですので、あまりアテにはなりません。
それよりも「為替市場のボラティリティーの緩和措置(国民年金との為替スワップによる一時的な効果を含む)」の方が問題です。
意味するところは「ウォン安が進行しているので、為替介入を行った」ですが、ウォン安阻止は「ドル売りウォン買い」を行いますので、ドルが溶けます。
また、『国民年金』との為替スワップ(韓国の表記に合わせます)は「『韓国銀行』がドルを出し、『国民年金』がウォンを出す」という交換です。
つまり、これによっても『韓国銀行』が保有するドルは減ります。
にもかかわらず、Deposits(預金)は「26億ドル増加」しています。
なぜでしょうか?
ここからは推測です。当月は、
①ウォン安阻止の為替介入
②『国民年金』へのドル提供
のためにドルが必要だったので、Securities(証券類)を64億ドル規模売却して用立てた。①②を行って、結果としてDeposits(預金)が26億ドル増。
――で、外貨準備高全体として42億ドル減少という結果だった――そういうことではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)