何度かご紹介していますが、中国最大の問題はその過剰生産、供給過剰です。
「アレが儲かりそう」となると、それまで手掛けたことがなくても製造に乗り出し、われもわれもと参入して市場をレッドオーシャンにしてしまいます。やがて過剰供給に陥って儲からなくなり、バタバタと企業が倒れていきます。
リングにずっと立っていられるのは、赤字でも構うもんかと価格競争を続けられる国有企業や、有力な政治家がバックにいる「潰せない企業」だけ。このような非合理的な戦いが、中国内だけで行われるのならいいのですが、これが外国市場にも向かいます。
異常な過剰供給は、中国内から外国に向かい、よその国の市場を食い荒らします。
まさにイナゴの群れというほかなく、世界の自由主義陣営国は中国企業の異常な侵略を食い止めなければなりません。放置すると、自国企業、市場が中国の安かろう・悪かろう製品に席巻されてしまうからです。中国製品に補助金を出すのなどもってのほかです。
技術力で追いつかれた韓国は悲惨で、もはや中国は半導体(メモリー半導体)以外では韓国は必要ありません。むしろ、韓国が中国の資源・中間財輸出なくしては困るという状況になっています。
だからこそ、韓国は中国との貿易で黒字が出せなくなったのです。
韓国メディアは「(中国が韓国の後塵を拝するような)超格差技術を確保すべき」などと言い立てますが、韓国にはそんなものはありません。今まで日本からの技術剽窃だけで進んできて、自身で基礎技術を積み上げるのを怠ったツケです。
――で、何ができるかというと嘆くことだけです。
イナゴの群れを止めろ! 韓国にできるだろうか
韓国メディア『ソウル経済』にその嘆き節の記事が出ていますので、以下に一部を引用してみます。
(前略)
アメリカ合衆国の情報技術(IT)専門誌『Wired(ワイアード)』が最近、内部情報筋を引用し、中国の電子商取引(eコマース)企業である『temu(テム)』が合衆国市場を攻略し、顧客注文1件当たり平均30ドル(約4万ウォン)の損害を被っていると明らかにした。カナダとオーストラリア・ニュージーランドでは年間5億8,800万~9億5,400万ドルの損失を被っていると推定した。
事実上、押し売り式ダンピングをしているのだ。
(中略)
韓国市場も同様だ。(中略)専門家らは、中国のプラットフォーム企業と低価格商品がイーマートのような国内流通網を崩壊させ、製造業まで壊滅させる可能性があると懸念した。
国内製造業への悪影響はすでに始まっている。
『中小企業中央会』によると、中国の海外直球(直接購入)で被害を受けた中堅企業320社を対象にアンケート調査を行った結果、回答者の80.7%が中国の直球が企業売上の減少に影響を及ぼしたか、影響を及ぼすと考えていることを明らかにした。
一部の輸入業者は、毎年売り上げが5%前後減少している。
現在、中国は低価格攻勢を通じた競争国の製造業攻勢と、技術競争を通じた市場圧倒という二つのアプローチを取っている。
今年01~02月の中国の輸出額は約686兆ウォンで、前年同期比10.3%増加した。
鉄鋼輸出は8年ぶりに最大だ。
景気減速に伴う在庫の急増に無差別的に輸出を増やし、グローバル製造業を崩壊させている。
産業研究院のチョ・ウンギョ副研究委員は、「今月初めの両会議では、国境を越えた電子商取引の発展促進、海外物流倉庫の建設拡大などが強調された」と伝えた。
劣勢に立たされた主要国は防御に乗り出した。
ブラジルは中国産鉄鋼と化学製品に対する反ダンピング調査に着手し、欧州連合(EU)は中国産電気自動車に関税を課す予定だ。
チェ顧問は「政府は中国産製品全般についてモニタリングをしなければならない」とアドバイスした。
述べていることは正鵠を射ています。
安く作った安価な製品をネット経由のダイレクトコマースによって外国に売り、市場を食い荒らすばかりか、製造業までもが潰される――というわけです。
当たりです。もうそうなっています。特に技術力で中国に追いつかれた韓国は、中国内を食い荒らした価格戦闘力のある製品がダイレクトに韓国内に送り込まれたら……踏み潰されて勝ち目はありません。
「劣勢に立たされた主要国は防御に乗り出した」と書いていますが、韓国こそ深刻です。しかし、中国に文句の一つも言えない韓国が防御に乗り出すことが可能でしょうか。
しかし、文句の一つもいえず、ただただ泥沼に沈んでいくこともできないでしょうに。
(吉田ハンチング@dcp)