ことの始まりは、中国の自動車評論家・袁启聪(袁啓聡)さんが2024年08月20日に自身の微博(Weibo)アカウントに上げた動画です。
↑袁啓聡さんが微博に上げた「享界S9 有点失望」(享界S9にはちょっとガッカリしたよ)という動画/スクリーンショット
「享界S9」というのは、『北京汽車』傘下の『汽新能源』が『華為(ファーウェイ)』と共同開発し、「享界」ブランドで出した最初の電気自動車です。
動画の中で、袁さんは華為(ファーウェイ)の「享界S9」をテストし、車両がジャンプ中に揺れや方向の偏りが発生することを発見した、シャーシ性能に失望したと率直に述べました。
問題は、袁啓聡さんが「212.6万人」もフォロワーを持つ、大きな影響力を持つ人だったことです。
「見逃せない」と判断したのでしょう、「ファーウェイ-享界自動車」ブランドは以下のような声明を出しました。
享界汽車
声明
私たちは、あるメディアが公道で享界S9に対して高速「飛び込み」テストを行い、車両がジャンプ後に「直線走行を保てず、全体が一方向に偏る」と報告したことに注意しています。また、この件についてインターネット上で多くの議論が巻き起こっています。分析と複数のデータに基づき、私たちはこの結論が客観的でなく、厳密でもなく、消費者に誤解を与える可能性があると考え、以下のように説明します。
国家監視プラットフォームのデータに基づき、動画の映像分析を組み合わせた結果、今回の「飛び込み」テスト(テスト動画29:14-29:19)は2024年08月16日12時42分頃に発生し、車両速度は63km/h、車輪が地面から浮いた際、モーターの開度は28.8%でした。ハンドルの回転角度は23度、測定された最大力は約1.96Nmで、直後に方向は左に回転し始めました。
車両の自身の原因でハンドルが動いた場合、方向に対する測定された力の方向は反対になります。
しかし、テスト中に方向が右に動いたのは、操縦者が積極的にハンドルを右に動かした結果であり、その後に自動修正が行われました。これにより、車両は直線走行できなくなりました。
通常の条件では、享界S9は自動運転や手動運転のいずれの場合も直線走行を維持できます。
享界S9は長い間、華為の透過プラットフォーム、先進のシャーシ構造と上質なサスペンションを採用しており、消費者に安全で快適な運転体験を提供してきました。
また、豊富な運転体験を持つ専門家たちによって評価され、広く消費者の満足を得ています。今回の飛び込みテストについてのより詳しい分析は、業界の専門家と共有していきます。
私たちは引き続き、車両評価が規範に従い、厳密で客観的であるよう、特に公道でのテストにおいては適切な場所で規則に従った安全なテストが行われるべきことを強調します。
また、私たちは業界と消費者を誤解させないよう、関連する監視プラットフォームのデータを見直し、消費者に公平で正確な享界S9の走行性能を確認していただけるよう努めます。皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます!
享界汽車
2024年08月25日
実は、今回の本題はここからです。
「国家監視プラットフォームのデータ」って何だ
上掲声明の中に見逃せない部分があります。
原文に「国家监控平台提供的数据」と書いてあります。「国家監視プラットフォームの提供するデータによると……」と意味です。
自動車評論家の袁啓聡さんが、いつS9を運転したのか、どのように運転したのかを割り出すことができています。
つまり、この電気自動車は走行履歴のデータが常に取得され、「国家監視プラットフォーム」に流されているのです。また、電気自動車メーカーはいつでもそのデータを引き出すことができるようになっています。
でないと、このように断定した声明を出すことはできないでしょう。
2020年、イギリスは『ファーウェイ』製品による5Gネットワークへの参加を禁止し、2027年末までに全ての『ファーウェイ』機器を撤去することを決めました。報告書によれば――中国共産党は自動車システムを制御する「セルラーモジュール」を通じて自動車を遠隔監視できる――としています。
中国産の電気自動車には、炎上リスクだけではなく、スパイリスクもあると考えねばなりません。
水没前提の頑丈さなの?
ちなみに、この「享界S9」を紹介したサイトを見ると、以下のようなビジュアルが使われており――、
创新一体式硼钢门环与双腔双管架构。上部乘员舱保护区热成型钢占比达 40.7%,达到潜艇级 2000 MPa 抗压性能27。按 CNCAP 2024 严苛标准设计,车身坚如磐石。
革新的な一体型ホウ素鋼ドアリングと二重チャンバー二重チューブ構造。上部乗員保護区のホットスタンプ鋼の割合は40.7%に達し、潜水艦レベルの2000 MPaの耐圧性能を実現。CNCAP 2024の厳格な基準に基づいて設計されており、ボディは岩のように堅牢です。
――と書いてあります。頑丈なのは確かかもしれませんが、もしかして水没する土地で走ることを前提としているのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)