「人類運命共同体」というのは、中国の習近平総書記が言い出した「崇高な考え」――だそうです。
「宇宙船地球号」みたいな話ですが、決定的に違うのは「習近平の導く特色ある近代的社会主義の下に結集して」運命共同体として発展していこう――という薄ら寒いコンセプトである点です。
（その実体はなんだかいまだにさっぱり分かりませんが）「習近平の導く特色ある近代的社会主義」だけなら、犠牲者は14億人で済みますが、「人類運命共同体」ですから、よその国も巻き込んでやろう――というビッグな企画です。
2025年01月02日、中国外交部の鉄砲玉こと王毅部長（外相に相当）が、「北京に人類運命共同体研究センターができました」という発表を行いました。
以下をご覧ください。
2025年01月02日、
人類運命共同体研究センターの発足式が北京で開催されました。
中国共産党中央政治局委員で外交部長の王毅氏が研究センターの発足を発表し、挨拶を行いました。
王毅氏の挨拶要旨
王毅氏は、研究センターが外交学院に設置されたことを祝福し、次のように述べました：
「人類運命共同体の構築は、習近平総書記が提唱した重要な独創的思想であり、習近平外交思想の核心理念です。『どのような世界を建設するのか、そしてどのようにその世界を建設するのか』という時代の課題に対する中国の答えであり、貴重な理論的価値、重要な時代的意義、そして深遠な世界的影響を持っています」
人類運命共同体理念の意義
王毅氏は、以下の点を強調しました：初心と使命の象徴: この理念は、中国共産党の初心と使命を示し、中華文化の優れた伝統を発揚しています。
科学理論の力: 科学的理論の思想的威力を示し、百年に一度の世界の大変革における中国の立場を明確にしています。
実践への進展: 提案から共通認識へ、ビジョンから実践へと進化し、現在の世界に積極的かつ深い変化をもたらしています。
現在、数十の国と地域が中国とともに異なる形式の運命共同体を構築しており、この理念は国連総会決議や多国間文書にもたびたび盛り込まれています。人類社会を平和、安全、繁栄、進歩に向けて導く重要な公共財としての地位を確立しています。
研究センターの役割と期待
王毅氏は次のように述べました：「人類運命共同体理念は中国から生まれ、世界に貢献するものです。習近平総書記が述べたように、構築は美しい目標であると同時に、世代を超えて努力を続けなければならない目標でもあります」
外交学院が70周年を迎える今年、新たな旅路において伝統を受け継ぎつつ時代とともに進化し、研究センターの建設を進めることで、習近平外交思想の研究、解説、広報という重要な役割を果たすよう求めました。
具体的な指針「二つの維持」の実践
習近平外交思想の核心的要義と実践的要求を深く理解し、中国独自の立場、観点、方法を活用して理論研究を深める。実践重視
問題解決に焦点を当て、積極的に建議し、人類運命共同体の構築に強力な知的支援を提供する。国際交流の強化
システム的な説明、国際的な表現、中国の物語を語り、中国外交政策の広報を進めることで国際的支持を獲得する。人材育成
学問と人材育成を結びつけ、愛国心を持ち、信頼される次世代の外交人材を育成する。研究センターの概要
人類運命共同体研究センターは、外交学院を拠点として設立されました。学術研究、政策提言、広報、そして人材育成を通じて、人類運命共同体の構築を推進するための理論、政策、言説、人材支援を提供します。発足式は外交学院党委員会の王世廷書記が司会を務め、外交部党委員会の齊玉書記が設立決定を発表しました。中宣部、全国人民代表大会、教育部、人力資源社会保障部、北京市の責任者が出席し、国内の主要大学や研究機関の代表、専門家らも参加しました。
↑発足式の様子。ばかばかしいのを分かっていて喜んでみせる皆さんがスゴいです。王毅さんも大変ですねえ。
文中に登場する「外交学院」というのは、1955年に創設された「中国外交学院」のことで、中国の外交官を養成するために設立された教育機関です。
主に国際関係や外交政策に関する専門知識を学ぶ場として知られていますが、ここに（よせばいいのに）「人類運命共同体研究センター」をつくったのです。
ただの思想教育機関なんじゃないのか――とも思えますが、あるいはスパイセンターかもしれません。
中国が習近平なる独裁者を抱いて沈みたいなら、勝手にすればいいですが、よその国を沈没に巻き込もうとするのはやめていただきたいものです。なぜ中国みたいな駄目な国と心中しなければならないのでしょうか。
（吉田ハンチング＠ｄｃｐ）
