韓国というのは日本と比較してはるかに「信用」の薄い国です。そもそも給与がきちんと支払われるのかどうかを心配しなければならない国なのです。
実際、雇用労働部が公表している「賃金不払い」のデータは驚くべきものです。
2024年01~11月累計で、未払い賃金の発生額は1兆8,659億ウォン。
Money1でもご紹介したことがありますが、2023年累計が「1兆7,845億ウォン」でしたから、11月時点ですでに前年を上回っています。
1兆8,659億ウォン時点ですでに韓国史上最高額ですが、まだ12月分がありますので、2024年は累計で初の2兆ウォン超えとなる――とも予測されています。
このような状態ですので、2025年01月05日、雇用労働部は2025年01月06日から24日までの3週間に「未払い賃金精算期間」を設けるとしました。これは、旧正月のお休みが始まるに当たり、「給与を支払ってもらっていない」というあまりにも気の毒な状況を解消しよう――という意図です。
労働ポータルのオンライン窓口や専用電話(いわば「未払い賃金119番」です)を設置し、労働者からの連絡をもらい、未払いの解消に対応する――としています。
事業所の情報や未払い賃金に関する事実関係を詳しく記載すればよい――としています。面白いのは「匿名での通報」も可能という点です。匿名の場合は簡略化された形式で申請できます。
未払い賃金専用電話に掛けると、未払い賃金業務を担当する労働監督官に直接つながり、相談や申告をすることができます。
未払い額が1億ウォン以上の場合や、被害労働者が30人以上の場合、また未払いによる紛争が発生した場合などには、地方雇用労働庁長や支庁長が現場を直接訪問し、清算を指導するとのこと。
また、悪質で常習的な未払い事業主に対しては拘束などの強制捜査で厳正に対応する方針――としています。
韓国は一応「先進国」となっていますが、給与が払われるかどうか不安というのは、中国に近いともいえます。もっとも、不払い119番を設置するなどの行政対応が行われるというだけでも、中国よりははるかにマシではありますが。
(吉田ハンチング@dcp)