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中国「地方政府の隠れ債務」を増やす手口。8つの事例で2,398億円!

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先にご紹介したとおり、中国共産党中央政府は、地方政府が負債を増やすことに神経を尖らせています。

新たなインフラプロジェクトを停止することに加えて、すでに資産に計上されているプロジェクトについての点検を進めるように指示しています。もう二進も三進もいかなくなっていることの証拠です。

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中央政府は、2023年の地方予算の執行状況を監査した結果を公表しているのですが、隠れ債務を「このように積んでいる」として指摘する文書を公表しています。

中央政府がどれほど指摘しようが、キャシュフローが回らない地方政府はお金を調達しようとして債務(返済しなければならない借金)を増やしてしまうのです。

以下は中国語の文章の日本語訳です。この文書では隠れ債務が増加する手口として8つの事例を挙げてます。以下に要点を抜粋します。面倒くさい方は小見出しの要目だけご覧ください。

1.天津市の天津港保税区が地方国有企業から直接借り入れた73.97億元の新たな隠れ債務

2018年06月から2023年05月にかけて、天津港保税区党委員会常務会議の議事録に基づき、天津港保税区管理委員会は天津保税区投資控股グループ有限公司およびその子会社である天津天保国際物流グループ有限公司から合計147.32億元を借り入れ、全額を天津臨港投資控股有限公司に貸し付け、既存債務の返済に使用した。

2023年05月時点で、天津港保税区管理委員会は27.57億元を返済し、残額は119.75億元。

このうち、地方政府の隠れ債務の統計監視システムにおける「新規借入による旧債務返済」の45.78億元を差し引いた後、新たに形成された隠れ債務は73.97億元となった。

2.遼寧省営口市の鮁魚圏区が地方国有企業からの借り入れにより形成した19.96億元の新たな隠れ債務

2022年から2023年06月まで、営口市鮁魚圏区政府が発行した「債務解消資金調達に関する覚書」に基づき、鮁魚圏区財政局は地方国有企業から15.37億元、その他の企業などから4.59億元を借り入れ、すべての借入金を都市建設専用口座に統合して使用した。

この結果、新たな隠れ債務が19.96億元発生した。

3.湖南省の公立職業学校がリース方式による建設で形成した4.5億元の新たな隠れ債務

2018年11月、湖南石油化工職業技術学院は岳陽湘女文化教育発展有限公司と協力し、リース方式で新キャンパスを建設することを決定した。

この方式では、毎年1,233万元のリース料を支払い、30年間にわたり新旧キャンパスの運営を委託する形で買い戻しを行うことになり、合計で4.5億元の新たな隠れ債務が形成された。

4.江西省撫州市東郷区が地方国有企業からの借り入れにより形成した3.4億元の新たな隠れ債務

2022年03月から12月にかけて、撫州市東郷区財政局は資本積立金の返還名目で撫州市東郷区工業・技術革新投資グループ有限公司および撫州市東郷区都市投資発展有限公司の2つの区営国有企業から3.4億元の資金を調達し、これを統合して使用した。

この結果、新たな隠れ債務が3.4億元発生した。

5.吉林省通化市梅河口市が公立病院などを主体に借り入れた2.98億元の新たな隠れ債務

2020年12月、梅河口市政府会議の議事録に基づき、旧梅河口市中心病院(現吉林大学第一病院梅河口分院)は運営資金の補充名目で吉林銀行通化梅河口支店から借り入れを行い、その資金を梅河口市財源投資有限公司に転貸して2.98億元を調達した。

そのうち1.59億元は国有資産の購入に使用され、その売却収益は梅河口市国有資産経営有限責任公司が市財政に納付した。

残りの資金も梅河口市財政局に統合されて使用され、上記の借入金の元利返済は全て財政が負担した。この結果、新たな隠れ債務が2.98億元発生した。

6.内モンゴル自治区包頭市がリース会社から借り入れた資金を既存の隠れ債務の返済に使用し、0.68億元の虚偽の債務解消を引き起こした

2018年09月から2019年12月にかけて、包頭軽工業職業技術学院は遠東宏信融資リース有限公司および平安国際融資リース有限公司から借り入れを行い、実習棟および付属施設工事など20件の既存隠れ債務の返済に0.68億元を使用した。

この資金は地方政府の隠れ債務統計監視システムで債務解消として処理されたが、実際には虚偽の債務解消が行われており、0.68億元の虚偽の債務解消が発生した。

7.海南省臨高県が代理銀行に前払いを要求し、8.4億元の新たな隠れ債務を形成

2022年11月から12月にかけて、臨高県財政局は、代理銀行に対して規則に反して前払いを要求し、8.4億元の資金を不正に前払いさせた。

この結果、新たな隠れ債務が8.4億元発生した。

8.寧夏回族自治区銀川市永寧県が農村の飲料水および農業灌漑特許経営権を担保に借り入れた3.2億元の新たな隠れ債務

2023年03月、永寧県政府常務会議で審議・承認された「永寧県農村飲料水および農業灌漑特許経営プロジェクト実施方案」に基づき、永寧県財政局は永寧県豊源農業発展有限責任公司と協力し、農村飲料水および農業灌漑の特許経営権を担保に中国農業発展銀行永寧県支店から20年間で3.2億元を借り入れた。

この結果、新たな隠れ債務が3.2億元発生した。

こうして並べてみると、国営企業に借り入れさせてそれを利用、転貸資金の利用、銀行に前払いを要求、農業灌漑経営権単担保に入れた借り入れなど、ありとあらゆる手段を使って資金を調達していることが分かります。

上掲では略しましたが、それぞれで担当者が責任を追求された――と書かれています。

この8つの例だけで隠れ債務は計「117.09億元」増えたことになります。日本円換算で「2,397.8億円です。

日本円への換算は2024年09月24日の「1元=20.47円」で行いました。

8つの例だけでこの金額で、もちろんこれが全てではないでしょう。都合の悪い例は隠蔽しているものと思われます。

中国の地方政府は中央政府が認めない借り入れ、負債増を行わなければもう回らないのです。もちろん、この後ろにはこれら資金をチューチュー吸っている役人がいます。

(吉田ハンチング@dcp)

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