2022年05月10日、韓国に尹錫悦(ユン・ソギョル)新大統領が誕生しました。
尹大統領は親米路線なので、中国があからさまに警戒しています。王岐山副主席のような大物を就任式に送ったのがその証拠ですが、2022年05月11日、中国共産党の英語版御用新聞『Global Times』にさっそく記事が出ました。
以下に冒頭部分を引用します。
火曜日に韓国の新大統領に尹錫悦(ユン・ソギョル)氏が就任した。
尹氏が中国と米国の間で難しいバランスを取ることになると一般に予想されているため、韓国の権力移行が中韓関係にどのような影響を与えるかがアジア太平洋地域の注目の的となっている。
尹氏の重要政策大綱で、韓国が中国との協力関係を維持・発展させる必要があることが明確にされたことは、間違いなく心強いことであるが、不確実性は残る。
どちらかといえば、この地域における米国の終わりの見えない地政学的な企みは、中韓の経済・貿易協力にとって大きな不安定要因となりそうである。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: China-S.Korea trade cooperation should resist interference by US」
『Global Times』は御用新聞ですので、新聞の体(てい)を装い、英語で発信する中国共産党の主張と見て間違いありません。
「中韓の経済・貿易協力にとって大きな不安定要因となりそう」なんて書いていますが、要は「観光がアメリカ合衆国の地政学的な企みに乗ったら、中韓の経済・貿易協力は大変なことになるからな」という脅しです。
「なりそう」じゃありません。もし韓国が合衆国の話にノったら「不安定になるぞ」「不安定にするぞ」です。
露骨な脅しもあります。以下です。
(前略)
もし米国が中韓関係を韓米関係の「付属物」にしたいのであれば、韓国の国益を損ない、韓国の経済発展の勢いが損なわれることは避けられないだろう。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: China-S.Korea trade cooperation should resist interference by US」
さらに以下です。
(前略)
なお、米韓の正常な経済協力に異存はないが、そのような協力は中国の国益を損なってはならない。中国の国益を損なうような試みは、中韓の経済・貿易関係を深刻に傷つけ、中国の対抗措置を誘発する可能性すらある。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: China-S.Korea trade cooperation should resist interference by US」
日本を巻き込む話もしています。
(前略)
経済貿易の観点から、中韓経済関係が外部勢力の干渉に対抗するための最善の方法は、地域協力、特に中国、韓国、日本間の協力関係を強化することである。長い間、三国間の緊密な経済・貿易関係にもかかわらず、歴史問題と緊張が東アジアの地域経済統合のプロセスを制限してきた。
(後略)⇒参照・引用元:『Global Times』「GT Voice: China-S.Korea trade cooperation should resist interference by US」
中国と韓国の話に日本を巻き込むのはやめていただきたいですね。
このように露骨な脅しを繰り出していますが、中国としては景気減速、ロシアの起こした戦争による世界のブロック経済化、中国に対する世界的な非難の高まりなどがあって、韓国が自由主義陣営国側につくのをどうしても止めたいのです。
しかし、韓国という国は中国が優しくしてくれるのであればとそっちに走って行く可能性は大です。なにせ、「自由」を憲法から消そうとした文在寅大統領への支持率が任期末期でも40%あった国です。
「自由」などどうでもいい、北朝鮮と一緒になってもいいという人が40%もいるということです。
自由主義陣営国であるという自覚も恐らくあまりないでしょう。
また、中国に一度経済制裁を受けるととたんに膝を屈して媚中に転じる可能性も高いのです。
文大統領が好き勝手やったので、恐らくこの尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が韓国に残された最後のチャンスです。
さて韓国の新政権はどこまで親米を続けられるでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)