2022年05月10日、尹錫悦新大統領の就任式典が4万人余りの聴衆を集めて行われました。
上掲のとおり、朴槿恵元大統領、文在寅前大統領も出席しました。尹錫悦新大統領は、文前大統領の目の前で大変な就任演説を行いました。
文大統領が5年間行ってきたことを面罵したに等しい内容です。
以下は尹錫悦新大統領の就任演説の全文です(面倒くさい方は飛ばして次の小見出しまで飛んでください)。
尊敬し、愛する国民の皆さん
750万在外同胞の皆さん
そして自由を愛する世界市民の皆さん私はこの国を自由民主主義と市場経済体制を基に国民が真の主人である国に再建し、国際社会で責任と役割を果たす国にしなければならない時代的使命を持ち、本日この席に立っています。
歴史的な席に一緒にいただいた国民の皆さんに感謝します。
文在寅前大統領、朴槿恵元大統領、ハリマ・ヤコブシンガポール大統領、ポスタン・アルシャンジュ・トゥアデラ中央アフリカ共和国大統領、王岐山中国国家副主席、メガワティ・スカルノプトリ・インドネシア元大統領、ダグラス・ムホフ・ハリスアメリカ議長、林芳正日本外務相をはじめとする世界各国の祝祭使節と内外の貴賓の皆さまにも深く感謝いたします。
この場を借りて過去2年間、コロナパンデミックを克服する過程で大きな苦しみを耐えてきた国民の皆さんに敬意を表します。
そして献身してくださった医療スタッフの皆さんにも感謝します。
尊敬する国民の皆さん
世界市民の皆さん今、世界中がパンデミック危機、貿易秩序の変化とサプライチェーンの再編、気候変動、食糧とエネルギー危機、紛争の平和的解決の後退など、いずれかの国が独自に、または幾つかの国だけ参加して解決するのが難しい難題たちに直面しています。
さまざまな危機が複合的に人類社会に暗い影を落としています。
また、わが国をはじめとする多くの国々が、国内的に超低成長と大規模失業、格差の深化と多様な社会的葛藤によって共同体の結束力が揺れています。
一方、これらの問題を解決しなければならない政治は、いわゆる民主主義の危機のために機能を果たしていません。
最大の原因として指摘されているのは、まさに反知性主義です。
意見の異なる人々が互いの立場を調整し妥協するためには、科学と真実が前提でなければなりません。
それが民主主義を支える合理主義と知性主義です。
国家間、国家内部の過度な集団的葛藤によって真実が歪曲され、各自が見聞きしたい事実だけを選択したり、多数の力で相手の意見を抑圧したりする反知性主義が民主主義を危機に陥らせ、民主主義に対する信仰を損なっています。
このような状況は、私たちが抱えている問題の解決をより困難にしています。
しかし、私たちはできます。
歴史を振り返ってみると、私たちの国民は多くの危機に瀕していましたが、そのたびに国民が力を合わせて賢く、また勇気を持って克服してきました。
私はこの瞬間、これらの危機を乗り越える責任を与えられたことを感謝の気持ちで受け入れ、私たちの偉大な国民と共に堂々と取り組むことができると確信しています。
また、世界の市民と力を合わせて国内外の危機と難題を解決していけると信じています。
尊敬する国民の皆さん
世界市民の皆さん私は、この問題を解決するためには私たちが普遍的な価値を共有することが非常に重要だと思います。
それは「自由」です。
私たちは自由の価値を正しく、正確に認識しなければなりません。
自由の価値を再発見しなければなりません。
人類の歴史を振り返ってみると、自由な政治的権利、自由な市場が息づいていた場所では、いつも繁栄と豊かさが開花しました。
繁栄と豊かさ、経済成長はまさに自由の拡大です。
自由は普遍的な価値です。
私たちの社会、全てのメンバーが自由市民にならなければならないのです。
ある個人の自由が侵害されることを放置されれば、私たちの共同体メンバー全員の自由さえ脅かされます。
自由は決して勝者独占ではありません。
自由市民になるためには、一定のレベルの経済的基盤、そして公正な教育と文化の接近機会が確保されなければなりません。
こういうことなく自由市民とは言えません。
ある人の自由が蹴られたり、自由市民になるために必要な条件を満たさない場合は、すべての自由市民は連帯して助けなければなりません。
そして個々の国だけでなく、国際的にも飢餓と貧困、公権力と軍事力による不法行為で個人の自由が侵害され、自由市民としての尊厳な人生が維持されなければ、全ての世界市民が自由市民として連帯して助けなければならないのです。
みなが自由市民になるためには、公正な規則を守らなければならず、連帯と博愛の精神を持たなければなりません。
尊敬する国民の皆さん
国内問題に目を向けて、私が重要だと思う方向についてお話しします。
我が国は過剰な格差拡大と社会葛藤が自由と民主主義を脅かすだけでなく、社会発展の足首をつかんでいます。
私は、飛躍と急速な成長を達成しないとこの問題を解決するのは難しいと思います。
急速な成長の過程で、多くの人々が新しい機会を見つけることができ、社会のモビリティーを向上させることによって、双極化と紛争の根源を取り除くことができます。
飛躍と急速な成長は、科学と技術、そしてイノベーションによってのみ実現できるものです。
科学と技術、そして革新は私たちの自由民主主義を守り、私たちの自由を拡大し、私たちの尊厳な生活を持続可能にします。
科学と技術、そして革新は私たちの国だけでの努力では達成するのが難しいです。
自由と創造を尊重することで、科学技術の進歩と革新を成し遂げた多くの国々と協力し連帯しなければなりません。
尊敬する国民の皆さん
世界市民の皆さん自由民主主義は平和を生み出し、平和は自由を守ります。
そして平和は自由と人権の価値を尊重する国際社会との連帯によって保証されます。
一時的に戦争を回避する脆弱な平和ではなく、自由と繁栄を開花する持続可能な平和を追求する必要があります。
世界中のどこも自由と平和に対する脅威から自由ではありません。
今朝鮮半島と北東アジアの平和も同じです。私は朝鮮半島だけでなく、アジアと世界の平和を脅かす北朝鮮の核開発についても、その平和的解決のために対話の扉を開いておきます。
そして、北朝鮮が核開発を中断し、実質的な非核化に転換するならば、国際社会と協力して北朝鮮経済と北朝鮮住民の生活の質を画期的に改善できる大規模な計画を準備します。
北朝鮮の非核化は、朝鮮半島に持続可能な平和をもたらすだけでなく、アジアと世界の平和と繁栄にも大きく貢献します。
愛し、尊敬する国民の皆さん
今、私たちは世界10位圏の経済大国グループに入っています。
したがって、私たちは自由と人権の価値に基づいた普遍的な国際規範を積極的に支持し守るためにグローバルリーダー国家としての姿勢を持たなければなりません。
韓国だけでなく、世界の市民の皆さんの自由と人権を守り、拡大する上で、より主導的な役割を果たさなければなりません。
国際社会も大韓民国にもっと大きな役割を期待していることが明らかです。
今、韓国は国内問題と国際問題を分けることができません。
国際社会が私たちに期待する役割を主導的に遂行する時、国内問題も正しい解決方向を見つけることができるのです。
私は、自由、人権、公正、連帯の価値を基に、国民が真の主人である国、国際社会で責任を果たし、尊敬される国を偉大な国民の皆さんと共に必ず作っていきます。
ありがとうございます。
文前大統領への面罵に等しい内容
なかなか気合いの入った感動的でもある演説ですが、各種メディアでも既に紹介されているとおり、尹錫悦新大統領は「自由」をキーワードにしています。
「私たちが普遍的な価値を共有することが非常に重要」とし、その価値とは「自由」と述べました。
これをすぐ後方で聞いていた文前大統領は「ぐぬぬ……」となったでしょう。
以前ご紹介したとおり、文前大統領(と『共に民主党』極左議員)は韓国から「自由」を消そうとしました(以下記事を参照してください)。
検定教科書からは実際に「自由」の文字を消しました。「自由民主主義」が「民主主義」に書き換えられたのです(以下の記事を参照してください)。
なぜ、そんなことをしたかというと、北朝鮮の金体制を温存したまま統一するためにです。
尹錫悦新大統領の演説は、つまり文前大統領の施策の全否定です。文前大統領が消そうとした「自由」こそ最重要だと述べたのですから。
恐らく文前大統領は「なんてことを言いやがる」と内心怒り心頭だったに違いありません。
おまけに、「真実が歪曲され、各自が見聞きしたい事実だけを選択したり、多数の力で相手の意見を抑圧したりする『反知性主義』で民主主義を危機に陥らせ――」と述べました。
「真実を歪曲して、見聞きしたい事実だけを取り上げ、多数の力で相手を抑圧する」……これはまさに文前大統領(と政権)が行ったことです。
このようなことを尹錫悦新大統領は「反知性主義」と言い切りました。
簡単にいえば、文前大統領のことを「ばか」と言ったわけです。
つまり、尹錫悦新大統領は4万人の聴衆の前で、後方にいた文前大統領を面罵したのも同然です。
文前大統領は、はらわたが煮えくりかえっていたでしょう。
尹錫悦新大統領の「民主主義を支える合理主義と知性主義」は、韓国を変えることができるでしょうか。
そして、北朝鮮と中国の民主集中制(独裁を許すまがいものの民主主義)から最も大切な「自由」を守ることができるのでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)