韓国の航空会社はどこも「飛ぶ寸前」。「デフォルトした!」と確定しないまでも、政府が「仕方がない」と支援を確定させている『大韓航空』以外は、どこがいつ飛んでもおかしくはありません※1。
そんな状況の中、いよいよLCC(格安航空会社)の一つである『イースター航空』がデフォルト秒読みです。
同社は、以下のような状況に陥っています。
『済州(チェジュ)航空』が『イースター航空』を買収するはずだった
『イースター航空』は、従業員を無給無期限の休職にするなど事実上破綻している
賃金未払い問題でデモ騒動になっている。
で、買収するはずだった『済州航空』が『イースター航空』から手を引こうとしているのです。
本件を報じた韓国メディア『中央日報(日本語版)』は以下のように、事実上の買収放棄が行われたとしています。
チェジュ航空が7日、イースター航空の買収について、「同社の株式を取得しても安定した経営ができるか疑問」と明らかにした。
チェジュ航空はこの日、公式の立場文を通じて「イースター航空に対する各種疑惑はチェジュ航空が買収しようとする株式の正当性に深い懸念を生んでいる」としてこのように明らかにした。事実上イースター航空の買収放棄宣言と評価される。
(後略)⇒参照・引用元:『中央日報(日本語版)』「『株式取得しても安定的経営できるか疑問』…チェジュ航空、事実上『イースター航空放棄』宣言」
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
『済州航空』の言い分としては、
『イースター航空』の経営・資金について疑義がある
大株主のイ・サンジク議員についての疑惑がある
(同議員が子女に同社株を贈与した件についての疑惑)『イースター航空』の未払い「1,700億ウォン」を引き受けたくない
未払い賃金260億ウォンは『イースター航空』が支払うべきものだ
07月15日までに「未払い賃金を支払う」などの条件をクリアしろ
です。
これに対して『イースター航空』は「条件クリアは事実上できない」「そもそも未払い賃金は『済州航空』が引き受けると約束した」と、『済州航空』の言い分を真っ向否定しています。
というわけで、この買収話は流れそうです。
そのため、もう事実上破綻してはいますが、『イースター航空』のデフォルトは秒読み段階に入りました。
※1韓国の第2位の『アシアナ航空』は、例の買収する・しない問題でいまだに揺れており、先行き不透明なママです。HDC現代産業開発が買収契約の白紙撤回を確定させると、政府は渋々追加支援を行わざるを得なくなります。その意味ではセーフ!かもしれません。
重要な追記
2020年07月08日、賃金未払い問題の調停に韓国政府が乗り出しました。韓国政府としては、この買収がうまくまとまってもらわないと困るのです。例の「基幹産業安定基金」は、基本LCCを支援対象としていないので、政府は民間でなんとか問題をクリアすることを希望しています。
(柏ケミカル@dcp)