韓国の不動産市場についてです。
Money1でも何度もご紹介していますが、韓国の不動産市場、建設業セクターは大変な不況です。そもそもまともな内需が不動産してありませんので、不動産市場が回復し、建設業セクターの業績が成長しなければ、景気はよくはなりません。
これが難しいところで――不動産市場が回復するということは、不動産ローンを拡大させることであり、つまりは家計負債が膨らむことを意味します。そのため、不動産市場が回復することは、金融当局にとっては痛し痒しなのです。
これも、『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)が「内需」で回るようにするべし――という助言を「不動産一本槍」で来たのが原因で、この点で韓国は中国に似ています。まともな内需が不動産しかない――という点で中国と韓国は似た構造なのです。
読者の皆さんもご存じのとおり、中国における不動産市場は崩壊の憂き目に遭っており、回復さることなど、もはや不可能です。韓国は遥かにマシではあるものの、それでも構造的な袋小路である点では変わりありません。
韓国に『不動産R114』という不動産情報サイトがありますが、2025年01月24日に非常に興味深いデータを公表しています。
異変です。
新築分譲価格の方が上になった
以下をご覧ください。『不動産R114』が公表した資料の中にある「全国アパート 3.3平方メートル当たりの分譲価格および売買時価推移」のグラフです。
↑青色の線が「平均マンション分譲価格」、オレンジ色の線が「平均マンション売買時価」です。2024年
平均マンション分譲価格:2,063万ウォン
平均マンション売買時価:1,918万ウォン
上掲のとおり、2024年には「新築マンションの平均分譲価格」が、「既存のマンションの売買時価」を上回りました。
これは実に15年ぶりのことなのです。
韓国不動産市場における異変で、なぜこれが問題になるかというと――不動産を購入しておけば「必ず右肩上がり」――とはならないことを示しているからです。
韓国の場合には、新築マンションの平均分譲価格が、既存のマンションの売買時価を上回っており、「いつも右肩上がり」だったわけです。だからこそ投資が不動産に集中し、一度マンションを購入すれば、必ず利益が出ると信じられたのです。
この15年ぶりの「異変」は、韓国における不動産「右肩上がり」神話が終焉を迎えたことを示すものである――可能性があります。
2024年1年だけの異変で終わり、また右肩上がりに転じるのかは注視する必要があります。
(吉田ハンチング@dcp)