2024年09月26日、中国『TCL Technology』が韓国『LGディスプレー』の広州液晶パネルおよびモジュール工場を108億元(約2,235億円)で買収したと発表しました。
※『TCL Technology』の子会社『TCL華星』を通じての買収。処分日は2025年03月31日/日本円への換算は2024年09月27日の「1元=20.69円」で行いました。
『LGディスプレー』の広州LCDパネル工場が『TCL Technology』に売却されるので、韓国企業は2025年にLCD TVパネル市場から完全に撤退することになります。
『LGディスプレー』は、引き続きOLED事業は行うが、工場の処分で得た資金は財務の安定を維持しながら事業を強化するために使用する――としています。また、大型液晶パネル事業から完全に撤退するが、中小型のIT・車載用パネルの生産は継続する、とのこと。
中国『Qunzhi Consulting』は、中国のこの市場におけるシェアは中国企業が70%を占めることになるだろう――と分析しています。
いずれくるものとは予想されていましたが、液晶パネルについては完全に中国に主導権が移りました。実際、『LGディスプレー』は2年前から中国工場の売却を中国メーカーに打診していたのです。
また、『LGディスプレー』はOLED事業を継続するとしているものの、こちらも中国『BOE』などのメーカーがシェアを伸ばしており、こちらもやがて食われることになるでしょう。
中国の過剰生産性は凄まじいもので、価格競争の叩き合いになったら外国メーカーは絶対に勝てません。つまり、技術が中国企業に流出した時点で「負け」は確定です。
↑2023年06月に投入された量子ドットMiniLED液晶の「LG QNED MiniLED」と量子ドット液晶の「LG QNED」。
『LGディスプレー』は次世代の量子ドットディスプレーに注力する、ともしているのですが、これもいつまで技術的な優位性が保てるのか分かりません。
外国企業の技術を剽窃して安値競争で勝つ――というのは韓国も中国も同じです。韓国は自分がしてきたことを今、中国にやられているのです。
※大型OLEDパネルの量産技術を中国競争企業に渡したという疑いで元『LGディスプレー』職員が裁判にかけられています。「中国広州工場の設計図面をスマートフォンで撮影した後、これを中国競争会社に渡した疑い」です。
日本企業の皆さんは、決して韓国・中国企業に技術剽窃させないよう、十分な警戒をしてください。
大変皮肉なことに、同日2024年09月26日、『LGディスプレー』は、OLEDパネルの性能改善と車両用ディスプレー技術開発主導などの功労を認められ、大統領表彰など3つの部門賞を受賞しました(韓国「第15回ディスプレーの日」において)。
(吉田ハンチング@dcp)