2024年09月26日、『韓国銀行』が「金融安定状況報告書(2024.09月)」を発刊しました。
今回の報告書の摘要を以下に引きます。
物価上昇率の鈍化傾向が続き、経済が緩やかな成長傾向を見せる中、韓国の金融システムは、不動産PFの秩序ある構造調整と金融機関の良好な回復力を基盤に、概ね安定した姿を見せている。
ただし、脆弱な部門の不振が増大する可能性が存在する中、金利引き下げの期待が大きく高まり、住宅価格の上昇および家計ローンの増加傾向が続いている。
政府の不動産供給対策やマクロ健全性管理策などに支えられ、家計負債の増加が徐々に鈍化することが期待されているが、その推移を注意深く観察する必要がある。
これと共に、内外の環境変化が不動産PFなど脆弱な部門の不振と金融・為替市場のボラティリティへの影響にも留意する必要がある。
⇒参照・引用元:『韓国銀行』公式サイト「金融安定状況報告書」
『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁は「はは、オレばか嫌い」という風な人ですから、こっちはうまくやっているんだから、政府もなんとかしろよ――という報告書になっています。
「不動産供給対策やマクロ健全性管理策」は政府の担当で、これによって「家計負債の増加が徐々に鈍化することが期待されている」わけですから。
今回の報告書で面白かったのは、「限界企業」についての課題研究です。
限界企業というのは、利子補償倍率が1未満になった状態を3年続けたゾンビ企業のことをいいます。
利子補償倍率(Interest Coverage Ratioといいます)は、
利子補償倍率 = 事業利益(営業利益) ÷ 支払利息
で求めますが、支払わなればならない利息を営業利益がカバーできているかどうかを見る指標です。
1より大きければ利払いを営業利益でカバーできていることを示しますが、1未満なら事業を回して得る営業利益で借金の利払いもできないことを意味します。これを3年続けるというのはまさに「ゾンビ企業」です。「もう死んでいるのにな……」というわけです。
韓国ではこの限界企業が増加傾向にあります。
2023年時点で限界企業の割合は16.4%。
2021年:14.9%
2022年:15.5%
2023年:16.4%
と3年連続での増加です。
コロナ禍で痛めつけられて、韓国は不景気が続いていますから限界企業の割合が最も多いのは宿泊飲食業です(借入金比較)。限界企業の割合は59.0%にもなります。
運送業:49.2%
電気ガス:46.1%
不動産業:43.8%
となっていますので、韓国は本当にひどい有り様です。
(吉田ハンチング@dcp)