2021年03月01日、韓国の産業通商資源部が2021年02月の輸出入のデータを公表し、韓国メディアではこれが報じられています。しかし、産業通商資源部の公式サイトにはこのデータが見当たりませんので、不本意ではありますが報道からデータを引きます。
輸出:448億1,000万ドル(対前年同期比:9.5%増加)
輸入:421億1,000万ドル(対前年同期比:13.9%増加)
貿易収支(輸出 – 輸入):27億ドル
まず気になるのは↓でご紹介したとおり、関税庁のデータによれば02月01~20日までは貿易収支は「-12億500万ドル」で赤字だったことです。
21~28日の8日間で赤黒をひっくり返したことになります。この8日間の貿易収支を「+39億500万ドル」で回さないと02月の貿易収支は「+27億ドル」で締まらないはずなのです。
もちろん関税庁は通関ベースの数字を公表しますので、企画財政部の集計とはズレるはずですが、本当に?と疑いたくなります。
さらに報道では触れられていない重要なポイントがあります。
まず、以下の「国際収支統計」の2020年02月の輸出入のデータを見てください。
輸出:409億4,460万ドル
輸入:343億4,760万ドル
貿易収支(輸出 – 輸入):65億9,700万ドル
※輸出から輸入を引くと66億4,700万ドルになるのですが『韓国銀行』が公表しているデータのママです
報道されている「2021年02月の輸出:448億1,000万ドル/前年同期比:9.5%増加」と上記の「国際収支統計」の「輸出:409億4,460万ドル」を比較すると、「9.3%増加」でほぼ合います。
ところが、輸入の方が全然合いません。
報道では「2021年02月の輸入:421億1,000万ドル/前年同期比:13.9%増加」としていますが、「国際収支統計」の「輸入:343億4,760万ドル」を比較すると「22.6%増加」にもなるのです。
見どころは、2020年02月時点では貿易収支が「65億9,700万ドル」あったのに、2021年02月にはこれが「27億ドル」まで激減していることです。
なんと59.0%の減少です。
何度だって言いますが、韓国は輸出で食べている国ですが、それは輸出金額が大きければいいという話ではありません。貿易収支で大きな黒字が出ていなければならないのです。そうでないと韓国は立ちゆきません。
輸出が9.3%増えたー!かもしれませんが、利益が6割減ったー!なのです。
2020年04月、韓国は経常収支が赤字に転落しましたが、このとき貿易収支は「7億ドル」でした。
『韓国銀行』が公表した「国際収支統計」を基に、韓国の貿易収支が小さい順番に並べてみると以下のようになります。
2020年4月:7億480万ドル ⇒経常収支赤字に転落
2020年1月:20億6,990万ドル
2020年5月:26億1,280万ドル
2020年6月:61億8,320万ドル
2020年2月:65億9,700万ドル
2020年3月:69億6,180万ドル
2020年7月:70億1,170万ドル
2020年8月:70億8,440万ドル
2020年11月:99億5,070万ドル
2020年10月:101億6,730万ドル
2020年12月:104億9,580万ドル
2020年9月:121億580万ドル
今回報道されている輸出入のデータが正しいのであれば、貿易収支「+27億ドル」は小さくてお話になりません。もうかってないじゃん!という結果だからです。
近似値を求めれば2020年05月の水準です。急速に輸入が拡大し、輸出がそれほど戻らなければ貿易収支がさらに落ち込むこともあり得ます。韓国メディアでは「過去最高うんぬん」みたいな記事が出ていますが、喜んでいる場合でしょうか。
⇒参照・引用元:『毎日経済』「2月の輸出9.5%増、4カ月連続…一日平均輸出額、過去最高」
(吉田ハンチング@dcp)