2021年11月30日、アメリカ時間にドルウォンがウォン高方向へ大きく戻しましたが、これはファンダメンタルズに揺れがあったからです。
合衆国ではインフレ懸念から『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が「テーパリング開始だ」「2022年には年2回の利上げも辞さず」という態度でした。
ところが、「オミクロン株が拡散でまた経済活動に大打撃か」という観測が広がり、『FRB』の姿勢が揺らいでいます。
つまり、「経済状態が悪くなるなら、金融緩和を続けないといけないのではないか?」という見方が浮上しています。
テーパリングとは「金融緩和を徐々に縮小していくこと」ですが、これの実施が怪しくなり、利上げについても「?」になってきた――というわけです。
金融緩和が延長されるのであれば、ドルのじゃぶじゃぶ状態が継続されることになります。為替レートは基本通貨量の比で決まりますから、ドルが縮小に転じないならウォン安進行も阻止される、というわけです。
以下は、ドルの強さを示す「DXY」です(チャートは『Investing.com』より引用)。
11月24日の終値「96.88」をテッペンに下落傾向にあります。特に26日には大きく下落しました(長い陰線)。26日は、合衆国バイデン大統領がオミクロン株についての声明を出し、8カ国からの渡航制限が発表された日です。(因果関係は逆ですが)ドルが明らかに弱まり、ウォン安進行は阻害されました。
『FRB』の判断が先行き不透明になり、韓国ウォンの安値進行は、その分阻止されることになっています。
韓国通貨当局はほっとひと息かもしれませんが、しかし、これでスタグフレーション懸念はさらに強まるのです。
なぜかというと、合衆国が金融緩和を継続するということは、お金の価値が相対的に低いままに保たれるわけで、すなわちこのところの物価高傾向が強まったままになるからです。
(吉田ハンチング@dcp)