ウォン安が急進しており、「1ドル=1,260ウォン」を突破していよいよ危なくなっています。
先にご紹介したとおり、韓国では「通貨スワップが要る!」という声が上がり始めました。04月25日に『朝鮮日報』が「日米韓の三角通貨スワップだ」と主張する記事を出しました。
「1,260ウォン」を突破したので焦りが高まった模様です。
本日2022年04月28日10:00、韓国メディア『朝鮮日報』に「ウォン防衛は容易ではない」ので「米韓通貨スワップを復元しなければならない」という記事が出ました。
以下に記事の一部を引用してみます。
ドルウォン為替レートが25カ月ぶりに1,260ウォン台で締まり、ウォンの弱さが目立っているが、韓国の防衛余力が十分ではないという指摘が出ている。
一部では、今年に入ってウォンの価値の下落率は円やユーロよりは低い方だから過度の心配をする必要がないと言う。
危機時に火を消すことができる外国為替保有額も3月末基準で4,578億ドル(約579兆ウォン)で少なくはない。
しかし、ウォンは基軸通貨として扱われる円やユーロ貨とは条件が違い、安易に対応してはならないと専門家らは言う。
グローバル金融市場で恐怖がさらに拡散する場合、国際的に通用するユーロや円とは異なり、ウォンの価値がより速く安くなるということだ。
(後略)
「一部では」として「今年に入ってウォンの価値の下落率は円やユーロよりは低い方だから過度の心配をする必要がない」という意見を紹介していますが、これを述べているのは『韓国銀行』の李昌鏞(イ・チャンヨン)新総裁です(笑)。
『IMF』(International Monetary Fundの略:国際通貨基金)にいれば、このようなことは述べずに済んだでしょう。
円やユーロの方が下落幅が大きいので大丈夫というのは、かつて「大丈夫かどうかは金融市場が決める」と述べた李昌鏞(イ・チャンヨン)さんの言葉とは思えません。
記事が述べるとおり、ウォンはハードカレンシーではないので、資金が抜けるスピードが加速する可能性が高いのです。
また、外国為替保有額(『韓国銀行』はなぜか外貨準備といわなくなっています/英語でのデータ公表はForign Currency Reserveのママで変わらないのですが)が4,578億ドルあるから十分に通貨防衛できると書いています。
これは、本当に「使える」のであれば……です。
使える部分が少ないから2020年03月にドボン寸前でアメリカ合衆国のドル流動性スワップ(韓国側呼称は「米韓通貨スワップ」)に助けてもらったのではなでしょうか。『韓国銀行』の公表によれば、このとき韓国の外貨準備は「4,000億ドル」あったはずなのです。
また、同記事の以下の部分は注目ポイントです。
(前略)
したがって、本格的な「セルコリア(韓国資産売却)」が現れる前に、米韓通貨スワップを復元して不安感を払拭しなければならないと専門家らは口をそろえる。(中略)
ペク・ソクヒョン『新韓銀行』エコノミストは「中国のコロナ封鎖強化による余波が最近ドルウォンレートの上昇に大きな影響を及ぼしたように、ウォンの価値は対外変数に脆弱だ」とし「短期的に韓国経済に肯定的なニュースがないためドルウォンレートが1,300ウォン線近くに行くこともあり得る」と話した。
本格的なセルコリアが始まる前に……と述べていますが、すでに始まっている予兆はあるのです。
外国人投資家は少なくとも韓国株式は売り倒していますし、韓国債券への投資金額は大きく下がっています(純売り越し額は激減しています)。
傑作なのは「(前略)米韓通貨スワップを復元して不安感を払拭しなければならない』と専門家らは口をそろえる」の部分です。
韓国の皆さんは、自国の都合しか考えていません。
合衆国の都合は「インフレ退治のために流動性を抑えること」です。だからこそテーパリングを加速し、来る05月03~04日の『FOMC』(Federal Open Market Committeeの略:連邦公開市場委員会)にて金利を一気に上げるのでは?という観測が出ているのです。
合衆国は、インフレに対抗するため、相対的にお金の価値が上がるように通貨量を絞ろうとしています。
韓国がドル流動性スワップの締結を要求することは、合衆国のやろうとしていることの真逆です。
なぜ、よその国(韓国)にドルを供給するための、つまりは流動性を拡大する方向の「ドル流動性スワップ」協定を結ぶ必要があるのでしょうか。
恐らく『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)に相談しても、「あのね、今オレたちが何をしようとしているか分かってる?」と言われるのではないでしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)