これは韓国にとって大きな国家損害賠償請求です。韓国に不利な裁定が下ると予想されるので、莫大な金額を支払わなければならない可能性があります。
2022年06月29日、韓国の法務部から以下のプレスリリースが出ました。
このプレスリリースは、投資会社『ローンスター』が韓国政府を相手取って起こした損害賠償請求について、『ICSID』(International Centre for Settlement of Investment Disputesの略:国際投資紛争解決センター)の事務局が仲裁手続を終了した――と告げるものです。
この訴訟では、『ローンスター』は「46億7,950万ドル」(約5兆7,500億ウォン)もの損害賠償を求めているのです。
韓国政府が圧力を掛けた!
何があったのかといいますと、いささか古い話になります。簡単にまとめると経緯は以下のようになります。
『ローンスター』は韓国の『韓国外換銀行』を1兆3,834億ウォンで買収。50.53%の株式を取得します。
2007年
『ローンスター』は『HSBC』に『韓国外換銀行』の売却を打診。
「60億1,800万ドル」での売却契約を締結しますが、
2008年
『HSBC』が買収を諦め、契約は破棄されます。
2012年
『ローンスター』は韓国の『ハナ金融』に『韓国外換銀行』を「3兆9,157億ウォン」で売却。
1997年のアジア通貨危機時にドボン騒動を起こした韓国では、金融機関も大きく毀損されました。危機に陥った『韓国外換銀行』は『ローンスター』の資金投入で救われたのです。
『ローンスター』は、資金投入のみならず経営改革を行って黒転させました。
さて投資資金の回収だ、となった際に韓国内から大きな反発が起こりました。韓国の資産を苦しいときに安値で買いたたき高く売ってお金を稼ぐな――という無茶苦茶な意見が沸き起こったのです。
『ローンスター』が『韓国外換銀行』と子会社の『外換カード』の株価を不正操作したという疑惑がにわかに持ち上がり、『韓国外換銀行』を不当な低価格で買収した容疑、脱税・外貨密輸入容疑で検察庁が捜査介入します。
挙げ句の果てに、『ローンスター』は株価操作による不当買収容疑について起訴されました。
つまり、韓国政府が国民の反感に乘ったのです。
この事案は、韓国の投資環境が無茶苦茶なものであること、司法が国民の感情に左右されることを世界に知らしめました。こんなことは韓国でしか起こらないでしょう。
そのため「OINK」(Only IN Korea:韓国でしか起こらない)という言葉を代表する事案でもあります。
『ローンスター』は、「韓国政府の承認遅延で『HSBC』との取引が雲散霧消しただけでなく、『ハナ金融』を相手に売却を推進するときにも韓国政府が価格を下げろという圧力を掛け、不当な課税までした」と主張しています。
そのため巨額の損害賠償請求を行っているのです。
『ICSID』の判定に要注目!
――で、『ICSID』の判定は韓国に不利なものになると見られています。
『ICSID』は、手続き終了宣言後、120日以内に判定を宣告します(この期間内に判定しにくい特別な事由があれば180日以内)。
そのため遅くとも2022年09月末までには結論が出ます。
韓国政府が莫大な金額を支払うことになるのか、かなりの見ものです。読者の皆さまもぜひご注目ください。
(吉田ハンチング@dcp)