韓国産通部長官「MOUを批准すると守らないといけなくなる」⇒ まだ揉めている。

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韓国の鉄鋼業は傾いている――という話の続きです。アメリカ合衆国が、韓国産の鉄鋼・アルミニウムに対して50%の関税を科しており、これが最大市場合衆国での足かせになっています。

EUも合衆国に続く措置を打ち出しており、これが発動するとEU市場からのオミットが進行します。

韓国内需も冴えません。なぜなら、建築業がこれまた傾いているのみならず、中国産のダンピング製品がイナゴように韓国内史上を食い荒らしているからです。

簡単にいえば、「どうすんのコレ」状態なわけですが、産業資源部部長(長官)の金正官(キム·ジョングァン)さんが韓国メディアで面白い発言をしています。

↑YouTube『KBS』チャンネル「한미 관세 합의…후속 과제는? [일요진단 라이브] / KBS 2025.11.23.」

合衆国との交渉余地がある――というのです。『KBS』の「日曜診断」に出演した際の発言を以下に引いてみます。

「韓国と合衆国の造船業協力の過程で、国産鉄鋼材の使用が必須であるだけに、これをテコにして追加協議の余地を作っていく」

「合衆国は日本と欧州などすべてに50%の関税を課しているだけに、韓国だけ引き下げることはできないという立場だが、協議の余地は残っていると見ている」

「造船業の場合、鉄鋼を多く使うが、50%の関税を課せば船舶建造価格がさらに上がるため、実質的に話し、説明できることがある」

金正官(キム·ジョングァン)長官は、米韓の造船業協力が鉄鋼関税引き下げの糸口となる可能性がある――としました。

MOUの非公式翻訳版しか公開されないわけ……まだ揉めているから!

今回の取材で面白いのは、米韓関税交渉についてのMOU(了解覚書)の公式版がいまだに出ていいないこと――の理由が分かったことです。

Money1でもご紹介したとおり、ファクトシートとMOUはいつ出るんだ?――というメディアからの突き上げに応じるように、2025年11月14日、韓国の大統領室はファクトシートを出しました。

こちらについては、合衆国のホワイトハウスからのファクトシートが出たのです。

ところが、MOUについては韓国の産業通商資源部から「文書」は出たものの、「非公式翻訳版」のハンコ(みたいなもの)が入っており、合衆国政府・ホワイトハウスから何の公的リリースも出ませんでした。


↑韓国産業通商資源部が公開した米韓MOU(了解覚書)と称するもの。なぜか「非公式翻訳版」となっていました。

「なぜだ?」だったのです。このような非対称な対応は極めて異例です。

しかしこの日の金正官(キム·ジョングァン)長官の発言で、「何が起こっているのか」が分かりました。

金正官(キム·ジョングァン)長官は同番組内で以下のように発言しています。

(政界でMOUについて批准を推進すべきだという意見が出ていることに対し)「国会の批准同意はMOUを条約として認めるものであり、国内で法的効力を持つことになる」

「法律となれば守らなければならなくなるが、MOUの内容の中には国益的観点で直さなければならない部分もあるため、法律となれば法律違反の状況が発生してしまう」

「米韓は投資元利金をすべて回収するまで、韓国と合衆国の収益配分率を5対5に設定したが、これを法律にしてしまえば、後で直したくても合衆国が『しない』と言えばどうする方法もない」

「財政的負担が必要なものは特別法で行うだけに、MOUについては今後協議チームが改善できる余地を残してほしいというのが希望だ」

つまり――韓国は暫定版のMOUを公表したものの、いまだにサインするつもりはない――ということになります。

韓国側がゴネており、そのために合衆国もMOUを公式なものとして公表していないのです。この内容では合意できないという意思表示ですから、まだ「揉めている」というのが本当のところ――というわけです。

石油化学セクターの会社も傾いているが……

もうひとつ、金正官(キム·ジョングァン)長官は見逃せない発言をしています。

鉄鋼業だけだはなく、韓国の石油化学業は傾いています。

普通なら韓国政府が支援策を打ち出すのでですが、金正官(キム·ジョングァン)長官は――、

「特別法制定を通じて、財政・金融・規制緩和のための根拠を整えた状況で、来週麗水市に行き、企業と話をしてみる予定だ」

「過去10年間稼いで全部持っていき、苦しいときには自分のお金を一銭も出さずに政府に金を求めるのは国民感情に合わない」

「企業の自助努力が前提になってこそ、政府も石油化学産業をわれわれ産業の基盤であり守り抜くべき産業と考えている」

「石油化学産業が崩壊せず、高付加価値産業へ転換できるよう、政界なども力を合わせてほしい」

――と述べたのです。つまり「まず自分でなんとかしろ」と言ったわけで、傾いている石油化学会社の合併など、再編が進行するものと見なければなりません。

(吉田ハンチング@dcp)

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