2023年06月09日、『韓国銀行』が2023年04月の国際収支統計を公表しました。速報がご紹介したとおり、経常収支が再び赤字に転落したのですが、他にも興味深い点があります。
04月は誤差脱漏が「約-40億ドル」もあるのです。
↑黄色でフォーカスしたのが04月の誤差脱漏で「-39億7,530万ドル」もある⇒データ出典:『韓国銀行』公式サイト「ECOS」
誤差脱漏がプラスの場合は「経常収支・資本等移転収支・金融収支で捉えられなかった資金流入」があったことを意味し、マイナスの場合は「経常収支・資本等移転収支・金融収支で捉えられなかった資金流出」があったことを意味します。
つまり、04月はなぜか約40億ドルも「どこかに資金が流出した」ことになります。
ずいぶん前にご紹介しましたが、韓国は誤差脱漏の金額がマイナスに大きく触れると金融危機を迎えるという特徴があります。
これは当然の話で、国際収支統計に捉えられない巨額の資金流出があった――ということは、外貨がその分抜けているわけですから、外国からの融資を償還できなくなるという事態が起こりやすくなるからです。
2022年02月には「2021年の誤差脱漏が-113億6,750万ドルに達した」ので韓国に危機の兆しがある――とご紹介しました。以下をご覧ください。
その時のデータを基にした誤差脱漏の推移です。
誤差脱漏の金額が、先の経済危機の際の金額を抜いたときに(つまり原因不明の資金流出がこれまでの最大値を抜いたときに)韓国は新たな経済危機を迎える――のだとすれば、2021年は危ないと考えられました。
ところが、2021年の国際収支統計は後に『韓国銀行』によって修正が施され、誤差脱漏についても数字が変わりました。
現在公開されているデータを基にして同様のグラフを作ってみると以下のようになります。
2021年の誤差脱漏は「-65.8億ドル」に修正され、韓国通貨危機時の「-82.7億ドル」を下に抜かなかったのです。
これまでの最大の資金流出金額を上回ってはおらず、結果として「セーフ!」だったわけです。
何をいいたいかというと、資金流出にはこれから必要――ということです。04月にはなぜか40億ドルもどこかに資金が抜けたわけですので。
(吉田ハンチング@dcp)