韓国・文在寅政権の最低賃金引き上げ政策によって逆に中小企業、自営業者が廃業に追い込まれ、雇用が失われたという件については、先にご紹介しました。
韓国国会で「来年度の最低賃金をどうするか」について審議が開始されるのに合わせて、2020年06月19日、民主労組が要求を提出しました。
これがスゴイ内容だったのです。
2021年度の最低賃金要求は「1万770ウォン」(952.75円)※1
これは2020年の最低賃金「8,590ウォン」(759.9円)の25%増し。
毎月の収入で換算すると225万ウォン(約19万9,041円)。
この件を報道した韓国メディア『京郷新聞』の記事から一部を引用します。
ホン・ソクファン民主労総政策局長は、「100万人近い失業者が発生し、被害は低賃金労働者に集中した」とし「彼らが労働市場に復帰したときの最低賃金が削減されたり、凍結されるたりすると、景気にも悪影響を与える」と述べた。
民主労総は最低賃金委が予測した2019年の1人世帯1カ月の生活費(224万6,000ウォン)に、今年と来年の物価上昇率の予測値(-0.3%、0.8%)をそれぞれ反映して、来年度の最低賃金要求を決定したと明らかにした。
生活費の保証のためには、少なくとも月に225万ウォンが確保されなければならないというものである。
⇒参照・引用元:『京郷新聞』「『来年度の最低賃金1万770ウォンはなければならない』民主労総、審議控え要求提出」(原文・韓国語/筆者(バカ)意訳)
※赤アンダーライン、強調文字は筆者による
25%の賃上げ要求は無茶苦茶です。
それでなくても、文在寅政権になった2017年からの最低賃金の上昇は異常なことになっています。以下のグラフをご覧ください(2021年は要求額)。
2017年の「6,470ウォン」から、
2018年:7,530ウォン(116%)
2019年:8,530ウォン(132%)
2020年:8,590ウォン(133%)
と右肩上がりを続けてきました。( )内は2017年を100とした際の比率です。
今回の「1万770ウォン」が通れば、2017年の166%の金額となります。5年で賃金が1.66倍になるという信じられない事態が発生します。
さらに驚きなのは以下の要求です。
民間企業の場合、最低賃金に比べ30倍、公共機関は、最低賃金の7倍の幹部と役員給与を制限する最高賃金制の導入も要求に含まれていた。
と「最高賃金の制限」も要求しているのです。「お金持ちになるんじゃねぇ」というわけです。
労組の要求が「製造業の韓国脱出」を進める
日本のような労使のせめぎ合いがあまりないのは問題と指摘されたりしますが、韓国の労働組合の要求は「企業の存続」を揺るがすレベルにまで達しています。
労組の要求がどこまで受け入れられるのかは不明ですが、これが続けば韓国の製造業はますます国際的な競争力を削がれることになります。財閥系企業は製造拠点を海外に移すことを加速し、韓国国内から製造業の雇用が失われることになるでしょう。
韓国の労働組合は自分で自分の首を絞めているのです。
※1円換算は2020年06月19日の「1ウォン=0.088円」を用いました。
(柏ケミカル@dcp)