2024年11月06日、韓国の水原地方裁判所は、国家保安法違反(スパイ活動、特殊潜入・脱出、会合・通信、便宜供与など)の罪で起訴された元『民主労働組合総連盟』(民主労総)組織争議局長のソクさんに対し、懲役15年および資格停止15年の判決を下しました。
また、国家保安法違反(特殊潜入・脱出など)の罪で起訴された――
元保健医療労組の組織室長であるキムさんには懲役7年と資格停止7年、
元金属労組副委員長のヤンさんには懲役5年と資格停止5年
――の判決を出しました。
上掲3人に対しては「逃亡の恐れがある」として法廷で拘束されました。
※国家保安法違反(会合など)の罪で起訴された民労総傘下のある連盟組織部長であるシンさんについては無罪判決が下されました。
Money1でもご紹介しましたが、この人たちは2017年から2022年にかけて、北朝鮮の文化交流局から指令文を受け取り、労組活動を装ったスパイ活動を行った容疑、また中国やカンボジアなど海外で北朝鮮の工作員と接触した容疑がかけられています。
検察と国家情報院(国情院:KCIAの後身)、警察は、民労総の事務所やソクさんの住居などを家宅捜索。
過去最多となる90件の北朝鮮からの指令文と24件の報告書、暗号解読キーなどを押収。
これを分析した結果で、2023年05月に起訴に踏み切りました。
韓国の国安法は「防共」「北朝鮮による浸透阻止」のためにある!
韓国の国家保安法は1948年に制定され、北朝鮮や共産主義の脅威、反国家活動を抑えることを目的としています。
国家保安法の主な特徴は以下の3つの特徴があります。
●反国家活動の禁止
北朝鮮に対する協力や支援行為、北朝鮮の体制を擁護する行為、国家の秩序や安全を脅かすと見なされる行為が禁止されています。具体的には、北朝鮮のスパイ行為、宣伝活動、反国家団体への支援などが対象となります。
●厳しい罰則
国家保安法は違反者に対して厳格な刑罰を定めており、スパイ活動や反国家的な行動が認められた場合、死刑や長期の懲役刑が科されることがあります。利敵行為、外患内憂罪については極刑。
●思想や表現の自由を制限する可能性がある
国家保安法は、北朝鮮に共感や支持を示す発言や出版物を禁止しており、思想や表現の自由が制限されることがあります。そのため、反政府的な言動や共産主義的な主張は厳しく取り締まられ、これが人権侵害と批判されることもあります。
1950年06月25日に北朝鮮に攻め込まれたことのある韓国ですから、このような法律が現在も生き続けています。
ずいぶん前にご紹介したことがありますが、民主労総のデモなどにおいて「国安法を廃止せよ」という横断幕が登場するのは、何をかいわんやで、労働組合に北朝鮮シンパや主体思想活動家に浸透されている――と見ることができるのです。
※国家保安法の罰則規定は以下のとおり。
第3条(反国家団体の構成等)
① 反国家団体を構成したり、これに加入した者は、以下の区分に従って処罰する。
首謀者としての任務に従事した者は、死刑または無期懲役に処する。
幹部その他指導的任務に従事した者は、死刑、無期懲役または5年以上の懲役に処する。
その他の者は、2年以上の有期懲役に処する。
② 他人に反国家団体への加入を勧誘した者は、2年以上の有期懲役に処する。
③ 第1項および第2項における未遂犯も処罰の対象とする。
④ 第1項第1号および第2号の罪を犯す目的で準備または共謀した者は、2年以上の有期懲役に処する。
⑤ 第1項第3号の罪を犯す目的で準備または共謀した者は、10年以下の懲役に処する。
(1991年5月31日改正)⇒参照・引用元:『国家法令情報センター』公式サイト「国家保安法」
この強力な法律は、北朝鮮シンパを吊るすために使うことができますので、韓国司法が本気になれば、実は文在寅前大統領をもターゲットにすることが可能です。
なにせ、中身不明のUSBを直接金正恩に渡していますので(以下の記事を参照してください)。
北朝鮮への送金に関与していた疑惑のある李在明(イ・ジェミョン)さんだって怪しいもので、最大野党『共に民主党』の党首だろうが、遠慮なく突っ込んで調べてみれば、北朝鮮とツーカーだったという証拠が出ないとも限りません。
文在寅、李在明(イ・ジェミョン)さんはともかくとして、今回の判決について裁判所は、
「被告(ソクさんのこと:引用者注)の犯罪は北朝鮮を利するものであり、我が社会に分裂と混乱を引き起こし、自由民主主義を崩壊させる重大な犯罪である」
「長期間にわたり犯行が行われ、隠密かつ綿密であった点で罪質が非常に悪質だ」
と述べました。
さらに、
「自由民主主義体制において集会や表現の自由は無制限に許容されるものではない」
「しかしながら、反国家団体である北朝鮮の脅威が現存する以上、反国家活動を規制し、国家の安全と国民の生命を保障しなければならない」
――と量刑の理由を述べています。
一方の中国では……死刑判決
一方、大朝鮮・中国では、国家機関の職員が「外国勢力の指示を受けて情報活動を行っていた」として死刑判決を受けました。
2024年11月06日に行われた中国外交部の定例記者ブリーフィングより以下に引用します。
『Reuters(ロイター)』記者:
本日、中国国家安全部が、元国家機関の職員である張某が海外のスパイ情報機関に大量の機密情報を提供した罪で死刑判決を受けたと発表しました。このスパイ情報機関はどの国に属するものですか? また、これは新しく改正された「反スパイ法」が施行されて以来、中国が初めて死刑判決を下したケースですか?
毛寧:
ご指摘の件については把握しておりません。主管部門に問い合わせることをお勧めします。
聞いたって中国の国家安全部が答えるわけはないのですが、この死刑判決を出された張某さんがが、果たしてどこの国の諜報機関のし指示を受けて活動していたのか――は確かに気になるところです。
日本はスパイ天国といわれており、恐らく実態はそのとおりでしょうが、大朝鮮・中国、小中華・韓国では外国スパイの取り締まりに励んでいます。日本は何もしないで大丈夫でしょうか。
(吉田ハンチング@dcp)