現在、韓国では、2022年の最低賃金を決める交渉が始まっており、先にご紹介したとおり初っぱなからもめております。
そんな中、あの『全国経済人連合会』が『韓国経済研究院』のリポートを公表しました。
「最低賃金を上げたら雇用が減るからやめろ!」という内容で、現文在寅政権に対する激烈なカウンターパンチです。
今回はこのリポートについてご紹介します。
最低時給を1万ウォンにした雇用が最大30万人分減る!
このリポートの基になっているのは、『韓国経済研究院』がチェ・ナムソク全北大教授に依頼して実施した「最低賃金引き上げによるシナリオ別雇用規模(2021)」報告です。
この報告は、最低賃金(最低時給)の上げ幅別に雇用がどのように減少するのかを予測したもの。
まず、韓国の最低賃金がどのように推移してきたのか、おさらいのために下掲します。
現2021年の最低賃金は8,720ウォン(約854.6円)です。これが上がると雇用はどうなるのか? リポートの結果は以下です。
2020年:-2.5 ~ -6.1万人
2021年:-1.3 ~ -3.1万人
2022年(以下が最低賃金別シナリオ)
⇒9,156ウォン( 5%up):-4.3 ~ -10.4万人
⇒9,592ウォン(10%up):-8.5 ~ -20.7万人
⇒1万ウォン(14.68%up):-12.5 ~ -30.4万人
⇒1万28ウォン(15%up):-12.8 ~ -31.1万人
⇒1万464ウォン(20%up):-17.1 ~ -41.4万人
⇒1万900ウォン(25%up):-21.3 ~ -51.8万人
最低賃金を「5%」上げて「9,156ウォン」にすると、「4.3~10.4万人」分の雇用が減ると予測しています。
そして、文在寅大統領の公約でもあった「1万ウォン」まで「14.68%」上げると、なんと最大「30.4万人」分の雇用が減るというのです。
しかも、現在韓国で問題になっている青年層の雇用が「6.7~8.4万人」分減少するとしています。
もしこれが現実になれば韓国にとっては大打撃です。
⇒参照・引用元:『全国経済人連合会』公式サイト「最低賃金1万ウォンに引き上げ時、最大30.4万の雇用減少の見通し」
なんとか無用の政策を止めたい!
韓国の経団連といわれる『全国経済人連合会』がこのようなリポートを出した理由は、もちろん最低賃金の上昇を止めたいからです。
『全国経済人連合会』は企業・商売人を代表する組織であるため、平たくいえば商売の邪魔になるような政府の姿勢を苦々しく考えており、なんとか止めたいのです。
残念なことに『全国経済人連合会』がいくらまともな提言、リポートを出しても全くのれんに腕押しで、現在の文政権は全く理解しません。
確か、文大統領は「雇用大統領」などと称賛されていたはずです。「逆神」的な意味で雇用大統領だったのかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)