『韓国銀行』が基準金利をかつてないペースで上昇させているので、仕方ないのですが弊害が顕在化しています。
基準金利が上昇すると、当然ですが市中銀行の貸出金利も上がります。
金利が上昇すると「返済できるかな」と考えますから、当然お金を借りるのに躊躇するでしょう。これは、個人でも企業でも同じです。
企業の貸し出し金利は「3.84%」まできた!
2022年07月29日、『韓国銀行』が06月金融機関の加重平均金利のデータを公表していますが(以下がプレスリリース)……以下をご覧ください。
これによると企業融資の平均金利(新規取り扱い規準)は「年利3.84%」まできています。対前月比で「0.24%」の上昇です。
企業の設備投資が萎縮し続けている!
金利上昇によって何が起こっているかというと――企業の資金調達が滞(とどこお)り、同時に設備投資が減少してます。
設備投資はGDPを構成する重要な要素なので、これが減少すると経済成長に大きなマイナスとなります。
設備投資の「対前四半期比の増減」は2022年第2四半期に「-1.0%」です。その上、
2021年第4四半期:-0.2%
2022年第1四半期:-3.9%
2022年第2四半期:-1.0%
と4四半期連続で対前期比マイナスを続けています。つまり、企業の設備投資は萎縮し続けているのです。
4四半期連続でマイナスになるのは、「2012年第2四半期~2013年第1四半期」以来9年ぶりのこと。
アジア通貨危機に見舞われた「1997年第3四半期~1998年第2四半期」にも4四半期連続のマイナスを記録しています。
ちなみに5四半期連続のマイナスを記録したのは、「2012年第2四半期~2013年第1四半期」のただ一度だけです(統計を開始したのは1960年第2四半期)。
金利が上がっていますので、企業の利子負担も上昇しています。
上場している国内非金融企業の上位30社の利子負担費用は、2022年第1四半期には「7,191億ウォン」となりました。これが2021年第1四半期と比較して「142億ウォン増」(2.0%増)です。
07月はさらに上がる!
注目いただきたいのは、まだ06月時点でのデータだということです。
『韓国銀行』は07月13日に、基準金利を0.5%(=50bp)上げました。そのため、07月はさらに貸し出し金利が上がります。
これは予定された未来です。
さらに企業は資金調達がしにくくなり、設備投資も減少すると見られるのです。さらに企業の利子負担が増加します。
上掲の30社の利子負担「7,191億ウォン」は「1兆ウォン」を超えるのではないかという予測もあるのです。
――で、どうなるかというと「現金がいる!」です。
ただし、貸し出し金利が高いので、金融機関から借りることが難しい企業は資産の売却、有償増資といった手段を講じることになりそうです。
もう何度だっていいますが、金利が上昇する局面の方が危ないのです。
(吉田ハンチング@dcp)