ウォン安が急進したため、韓国では「米韓通貨スワップが要る!」という声が上がっています。
先にご紹介したとおり、韓国メディア『朝鮮日報』の記事は「米韓通貨スワップを復元して不安感を払拭しなければならないと専門家らは口をそろえる」と書いています。
「ウォンは基軸通貨になれる」などとうそぶいていた勢いはどこにいったんだ――という話ですが、韓国ではハードカレンシーとの「通貨スワップ」があれば助かるという盲信があるのです。
そのため、韓国メディアには「通貨スワップは安全弁」という表現が多々登場し、危なくなるたびに「米韓通貨スワップ」(あるいは「日韓通貨スワップ」)と連呼します。
来る2022年05月20日、アメリカ合衆国のバイデン大統領が訪韓することが決まりましたが、「いい機会なので米韓通貨スワップを締結するように要求するべき」という記事が出ました。
『毎日経済』の記事から一部を以下に引用します。
(前略)
韓国経済の危機の兆候はすでに現れている。ドル当たりのウォンは金融危機以来最低水準に落ちた。
貿易収支の赤字幅も大きくなっている。
今年に入って今月20日までに貿易赤字は91億ドルを突破した。
ウォンの価値の下落が輸入物価上昇と貿易赤字につながり、これによりウォンの価値がさらに下がる悪循環が現実となっている。
国内総生産(GDP)比28%の外国為替保有額(外貨準備高のこと:筆者注)も安心する水準ではない。
為替レートを守るには金利を上げなければならないが、合衆国も金利を引き上げれば効果は半減するしかない。
このような時、昨年末に終了した米韓通貨スワップを再締結すれば衝撃を減らすことができるだろう。
2008年の金融危機と2020年のコロナ19事態の時も、米韓通貨スワップは韓国経済の安全弁の役割を果たした。
ウォンの価値下落傾向を防げなければ、対外信用も墜落し、韓国経済は崖に追い込まれる。
新しい政府は手遅れになる前に米韓通貨スワップ締結を急がなければならない。
バイデン大統領が訪韓する際には、必ず議論すべき事案の中に「米韓通貨スワップ」も含めなければならない。
世界的なドル不足で韓国もドボン寸前に陥った2022年03月には、『FRB』(Federal Reserve Boardの略:連邦準備制度理事会)が緊急で締結してくれたドル流動性スワップ(韓国呼称は「米韓通貨スワップ」)によってウォン安は沈静化しました。
このドル流動性スワップは、2022年03月19日に締結され、期限を3度延長した後に、2021年12月31日に終了しました。
この終了に関しては「あ~あ」という嘆息にも似た記事が韓国メディアから出ましたが、そもそも一時的な契約だったので終わって当然です。
今回バイデン大統領が訪韓した際には「通貨スワップの復活を要求すべき」と主張しています。
「『FRB』に言えよ」という話なのですが、ウォンの状況が状況ですので、尹錫悦(ユン・ソギョル)新政権が合衆国に要求する可能性はあります。
恐らく、自身が同盟者としての義務を履行することについては一顧だにせず、バイデン大統領に要求ばかりするものと思われます。「血盟だ」などと言いながら。
バイデン大統領も「韓国に親米政権ができた!」とあまり期待しない方がよいのです。
(吉田ハンチング@dcp)