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「THAAD問題が中韓関係の障害にならないことを確認」そんなことは書いてない!

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2022年08月09日に行われた、中国・王毅外相と韓国・朴振(パク・ジン)外交部長官との会談。

アメリカ合衆国・ペロシ下院議長が台湾を訪問した後、しかも尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領が訪韓したペロシ下院議長と会うことを避けたので、この会談は非常に注目されました。

韓国メディアでも、その成果についてさまざまに報道しています。

『亜洲経済(韓国語版)』に興味深い記事が出ていますので、以下に記事の一部を引用します。


↑Googleの自動翻訳なので日本語がヘンなところがありますがご寛恕ください。/スクリーンショット

朴振(パク・ジン)外交部長官は9日、王毅中国外交担当国務委員兼外交部長と会って「国益による判断」とし、米国主導半導体サプライチェーン協議体「チップ4(韓国・アメリカ・日本・台湾)」予備会議への出席を通知した。

また、両国はサード(THAAD・高高度ミサイル防御体系)」問題が中韓関係の障害にならないことに共感帯を形成し、下半期「2+2次官級外交安保対話」をソウルで開催することにした。

「韓韓令(韓韓令・韓流制限令)」解除問題も議論された。

当初2時間に予定された会談は4時間行われ、外交部関係者は「率直で生産的な対話を交わした」と評価した。
(後略)

⇒参照・引用元:『亜洲経済(韓国語版)』「[한·중 외교 회담] “내정 불간섭” 왕이에 박진 “화이부동”···中에 칩4 예비회의 참여 통보했다」

両国はTHAAD問題が中韓関係の障害にならないことに共感帯を形成し……」と、まるで「THAAD問題がないことになった」かのように書いています。

間違っています。

中国外交部が出したプレスリリースにも、韓国外交部が出したプレスリリースでも、「THAAD問題が中韓関係の障害にならない」なんてことは、ひと言も書かれていません。

中国外交部が出したプレスリリースは以下の先記事で、韓国外交部が出したプレスリリースは本記事末で全文掲載しています。

https://money1.jp/archives/86580

これは、韓国メディアが都合よく解釈した願望です。

また、同記事では以下のよう書いています。

(前略)
韓韓令(韓韓令・韓流制限令)」解除問題も議論された。
(後略)

⇒参照・引用元:『亜洲経済(韓国語版)』「[한·중 외교 회담] “내정 불간섭” 왕이에 박진 “화이부동”···中에 칩4 예비회의 참여 통보했다」

これは、中国が韓国のコンテンツ産業の流入を絞った件についてですが、該当する言及は中国外交部のプレスリリースにはありません。

韓国外交部が出したプレスリリースには、確かに話し合われたと解釈できる部分があります。以下のように書いています。

(前略)
朴長官は、特に文化コンテンツ交流が両国民、特に若い世代の間の心の距離を狭めることができる最も迅速で効果的な方法であることを強調し、映画・放送・ゲーム・音楽など分野交流を大幅に拡大していくことにした。

◦これに対し、王毅委員は、中国側は中韓関係の重要な一部である人的・文化的交流の強化に積極的な態度を取っているとし、これのために努力していくことにした。
(後略)

⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「韓中外交長官会談(08月09日)結果」

韓国側・朴振長官は「映画・放送・ゲーム・音楽など分野交流を大幅に拡大していく」と述べたのですが、中国側・王毅外相は「(すでに)積極的に対応している」とし、「努力していく」との発言にとどまっています。

つまり、これはスルーと考えるしかありません。

韓国側がこの会談で得たもの(得たとしているもの)は「三不の誓いについての直接の言及がなかったこと」と、中韓での協力を続けていこうという言質です。

逆に中国側得たこと(得たとしていること)は、「5つのすべき」へのコミットメントです。もっとも、韓国のことですので、「5つのすべき」は合意でも約束でもない、と言い出すかもしれませんが。また「すべき」であって、「必ず行う」ではない――と言い逃れるかもしれません。

08月10日、韓国の外交部から出た、「この会談についてのプレスリリース」、その全文を以下に和訳して掲載します。もし気になる方はぜひご確認ください。

□朴振(パク・ジン)外交部長官は、08月09日(火)、中国山東省青島で王毅(WANG Yi)中国国務委員兼外交部長と中韓外交長官会談および晩餐を行い、△中韓関係、△朝鮮半島および地域・国際問題など相互関心事について議論した。

□両長官は、中韓関係が1992年の修交以来、過去30年間、韓中関係が政治、経済および社会・文化分野にわたって全方位的に発展してきたことを評価し、より成熟し健全な両国関係を作るための未来への協力方向について意見を交換した。

両長官は、両国が修交30周年を多彩で意識的に記念しようと共感し、昨年発足した「中韓関係未来発展委員会」の経験と成果の下に、年次1.5トラックの両側専門家間コミュニケーションプラットフォームを発展させ続ける案を検討することにした。

◦特に、朴大臣は中韓関係の将来の発展方向の協議をリードした。

・グローバルレベルの分野別疎通・協力を促進していくために両外交部間「中韓未来発展のための共同行動計画*」を提案したところ、両長官は両側間の後続協議と検討を経てこれを推進することにした。

*△高位級戦略的コミュニケーションおよび懸案管理、△サプライチェーンなど実質協力、△文化人的交流活性化努力、△地域およびグローバル平和・繁栄寄与などで構成/外交安保対話(2+2)、サプライチェーン対話、海洋協力対話、炭素中立協力などが新たに含まれる

□両長官は、新政府発足後、両国間首脳を含む緊密な高位級のコミュニケーション・交流が行われていることを評価し、中韓高位級だけでなく、各種対話体の稼働をさらに活性化していく必要性に共感した。

◦特に、両長官は次官級戦略対話を下半期早急にソウルで対面で開催することとし、外交・国防次官級対話(2+2)も年内推進とするなど、両国間の外交・安全保障分野での戦略的コミュニケーションを深化させていくことにした。

朴長官は、相互便利な時期に習近平主席の訪韓を期待するとし、年内に王委員の訪韓を要請した。王委員は、両首脳を含む高レベルのコミュニケーションの重要性を共感しながら、両側の間でこのために緊密に調整していこうとした。

□両長官は、過去30年間に目立った成果を収めてきた中韓の間での経済協力を新しい環境に合わせて質的に跳躍させていく必要性に共感し、そのために協力し続けることにした。

特に、両長官は、中途半端に接続されたサプライチェーンは、両国民の日常生活と企業の活動に実質的な影響を及ぼすだけに、サプライチェーンの安定的管理のためのコミュニケーションと対話を強化していくことにした。

◦両長官は去る07月再開された中韓FTAサービス・投資後続交渉を加速化していくと共に、DEPA*、RCEP**など域内多者協議体関連のコミュニケーション・協力も強化していくことにした。また、21世紀半ばまでの炭素中立実現や微細粉塵・気候変動関連協力も深化していくことにした。

*デジタル経済パートナー協定(Digital Economy Partnership Agreement):韓国、「21.10月加入手続き開始 / 中国、」

** 域内包括的経済連携協定(Regional Economy Partnership Agreement): ‘22.2月発効

□両長官は、韓中関係発展の土台である両国民間の友好感情を増進し、コロナ終息以後を備え、これまでコロナファンデミックに萎縮した人的交流を活性化していくためのさまざまな創造的解決法について議論した。

朴長官は、特に文化コンテンツ交流が両国民、特に若い世代の間の心の距離を狭めることができる最も迅速で効果的な方法であることを強調し、映画・放送・ゲーム・音楽など分野交流を大幅に拡大していくことにした。

◦これに対し、王毅委員は、中国側は中韓関係の重要な一部である人的・文化的交流の強化に積極的な態度を取っているとし、これのために努力していくことにした。

また、両長官は、仁川-北京直行便が07月23日に再開されたことを評価し、両国航空当局間で現在協議中の仁川-上海直航便をはじめとする追加便も円滑に再開できるように緊密に協力していくことにした。

□両長官は朝鮮半島の問題について意見を交換した。

朴長官は、北朝鮮が実質的な非核化に乗り出したら、北朝鮮経済と住民の生活の質を画期的に改善できる「大胆な計画」を含め、政治・経済・安保的対応措置を盛り込んだ非核化ロードマップを準備中だと述べた。

また、北朝鮮が挑発の代わりに対話と外交の道を選択するように中国側が建設的役割を果たしてくれるよう要請した。

朴大臣は、北朝鮮が最後に挑発を敢行する場合、国連をはじめとする国際社会が団結して断固として対応しなければならないことを強調し、今後も北朝鮮核問題関連の韓中緊密なコミュニケーションを続けていこうとした。

王毅委員は、中国が朝鮮半島の平和のために可能な努力を続けていくと述べた。

□両長官は、さまざまな地域およびグローバルレベルの問題についても幅広く意見を交換した。

朴長官は、中韓両国が普遍的価値と規範の精神に基づいて朝鮮半島と北東アジアを越えて地域・グローバル平和・繁栄のために協力していきたいとし、急変する国際環境の中で新たな協力を模索していく必要性を強調した。

また、朴長官は北東アジアの平和・安定のために日中韓三国間のコミュニケーションと協力の必要性が大きく、韓国が議長国として第9次日中韓首脳会議の開催努力を継続すると述べた。

これに対して王委員は韓国の努力と役割を積極的に支持すると述べた。

一方、朴長官は今年、両国30周年およびび国家イベント関連の相互協力経験などを勘案し、中国側が釜山世界博覧会誘致を支持してくれるよう要請した。

□今回の韓・中外交長官会談は韓中修交30周年を迎えた08月に開催され、

△中韓関係の未来発展方向を模索し、△供給網、文化コンテンツなど両国民と企業の実生活と密接に関連した分野での実質協力強化方案を積極的に発掘・推進し、△相互理解の向上と懸案の円満な管理、そして、共同利益の模索のための韓中間戦略的コミュニケーションを内実化することに大きな意義があると評価される。

添付:会談の写真。終わり。

⇒参照・引用元:『韓国 外交部』公式サイト「韓中外交長官会談(08月09日)結果」

(吉田ハンチング@dcp)

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