不採算な路線ばかりなのに、中国はいまだに高速鉄道の路線を拡張しています。
Money1でもご紹介してきましたが、これこそ官製ハコモノ業績の極みというべきもので、GDPを成長させ、中国共産党の中央から地方の小役人が評価される道なのです。
これまでは大丈夫だったかもしれませんが、中国共産党地方政府はもはや積み上がった債務に耐えられなくなっています。
2024年09月06日、杭温高鉄(杭州~温州間の高速鉄道)が開通しました。これは名前のとおり、杭州と温州を結ぶ路線です。
杭州は浙江省の省都で、温州は浙江省内でGDP第3位の都市、常住人口が約1,000万人に達しています。
路線の総延長約276km、設計上の最高速度は時速350kmで、杭州市の桐廬東駅から出発し、金華市、台州市、温州市を経由して温州北駅に至り、既存の杭深鉄道を通じて温州南駅まで延びています。
路線の全長は276キロメートル、最大時速は350キロメートルで、桐廬東、浦江、義烏、横店、磐安、仙居、楠渓江、温州北、温州南の9つの駅が設けられました。
このうち、浦江、横店、磐安、仙居、楠渓江は新設駅で、桐廬東、義烏、温州北、温州南は既存の駅を改築・拡張したものです。
この路線は、仙居、潘崗、東陽、浦江など浙江省の各地を高速鉄道で結び、浙江省における「1時間交通圏」を実現する――という構想です。
大都市を結ぶ路線ですから繁盛しそうなものなのですが……開通してわずかなのに、列車が運休する事態となっています。
利用客の目論見が狂ったのでは?
温州北高速鉄道駅では、温州北と杭州西を結ぶ10本の列車について、12月21日まで運行を停止するとの発表。
そもそも杭温高鉄の開通時には、1日あたり最大38本の列車が運行していました。
しかし、その後複数の列車が運休となり、10月25日時点では杭州西から温州北行きの列車が9本、温州北から杭州西行きが11本と、運行本数が激減しました。
運行停止の理由は明らかにしていません。
予定どおりの乗降客が達成できなかったのではないか――という推測が出ています。
開通後の初月に、沿線の各駅での乗客数は延べ72万人に達し、1日当たり平均約2.4万人の旅客となりました。
これは多いと思われるのですが、「国慶節」の期間を含み、いわば中国の旅客輸送のピーク期間でもあるので(また全ての沿線駅を含むデータであるため)、中国語メディアでは「決して多いとはいえない」――と評されています。
このまま減便で採算が取れないとなると――また中国は無駄な路線を造ったことになるのです。
(吉田ハンチング@dcp)