やっとこさ韓国の企画財政部から「『月間財政動向及び問題』2021年11月号」が出ました。これが出ないと韓国政府の財政の最新情報が分からないのです。
なぜか当月は発刊が遅れました。政府与党『共に民主党』の大統領候補・李在明(イ・ジェミョン)さんが「税収が増えたんだからそのお金を国民にまけ!」とごねている真っ只中なので、わざと発刊を遅らせたのではないか――そんな邪推もいたしました。
韓国の財政は2021年09月の時点で以下のようになっています。
↑赤枠で囲んだ部分が2021年09月の単月の政府収入(上)と政府支出(下)2021年09月
政府収入:44.9兆ウォン
政府支出:44.7兆ウォン
統合財政収支(収入 – 支出):0.2兆ウォン
単純に「政府収入」から「政府支出」を引いた「統合財政収支」は「0.2兆ウォン」と薄いながらもなんとか黒字になりました。
ところが……です。
財政収支の赤字は「-74.7兆ウォン」に拡大
以下の、ここまでの韓国政府の財政収支の推移をご覧ください。
※データ引用元は同上
青い線の統合財政収支は、09月が単黒となったことで赤字が多少なりと減りました。
しかし、オレンジの「管理財政収支」は赤字は増えています。Money1では何度もご紹介しておりますが、管理財政収支は社会保障基金の収支も足し込んだもので、財政収支を評価するのであればこちらを使うべきなのです。
というわけで、単純に収入から支出を引いた統合財政収支はうっすい黒字となったのですが、管理財政収支は「-74.7兆ウォン」(約-7兆2,459億円)まで赤字が進みました。
また注目ポイントは、2021年の第2次補正予算まで含めた政府支出予定の「78.0%」まで、09月の段階で使ってしまっていることです。01~09月で1年の3/4まできていますから、乱暴な計算ですが支出は「75%」にとどまっていなければなりません。
しかし「3%」余計に支出しています。
しかもこの比率は、災害支援金や個人事業主支援でお金をまくために補正で膨らませた「604.兆ウォン」(超スーパー予算といわれました)の支出に対するものです。
つまり、支出が予定より多いということです。だからこそ洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官はじめ企画財政部は、これ以上の支出増は勘弁してくれと、李在明(イ・ジェミョン)さんの「増えた税収ぶんを国民にまけ!」に抵抗しているとも考えられます。
ともあれ、財政収支の赤字は拡大しており、次の政権はかなり大変な目に遭うと予想します。
(吉田ハンチング@dcp)