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【受注が24%減る】韓国造船業の絶好調が終わる予測

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韓国造船業は2020年の終わりから「受注ラッシュ」を続けてきました。

韓国語メディアのみならず、日本語メディアでも「韓国造船はジャックポット連発」といった惹句が踊りましたので、韓国の造船が景気がいいのかと誤解されるむきも多いかもしれません。

しかし、Money1でも何度かご紹介しているとおり、韓国造船の最大手3社はどこも赤字です。

間もなく第3四半期の結果が出ますが、とりあえず直近の2021年上半期の業績は以下になります。

2021年上半期業績
●『韓国造船海洋』
営業利益:-8,298億ウォン(約-780億円)

●『サムスン重工業』
営業利益:-9,447億ウォン(約-888億円)

●『大宇造船海洋』
営業利益:-1兆2,203億ウォン(約1,147億円)

⇒データ引用元:『韓国金融監督院DART』公式サイト

たとえ受注ラッシュでも、納品するのに最低でも2年はかかるので、お金の回収までのスパンが長いのが造船業のつらいところです(しかも巨大タンカーなどの建造では巨額の資金が必要)。

赤字続きなため、ジャックポット連発でも納品して売上を確保するまでの期間を耐えなければならないのが韓国造船業の現状なのです。

では、その先は大丈夫なのかというと、「そうでもなさそう」という予測が出ました。

少しずつ暗雲が出始めた韓国造船業界の先行き

国策銀行である『輸出入銀行』(2020年に私募債を発行して『サムスン電子』からドルを調達したことがある銀行です)の「海外経済研究所」は、「海運・造船業2021年度第3四半期の動向と2022年度の展望」を公表。

この中では、2022年の世界の新規船舶発注数と韓国造船業の受注数を以下のように予測しています。

2022年の世界新造船発注量と韓国受注見通し

2020年2021年推定2022年見通し
世界発注量23.2(-23.5%41.3(+81.1%)35.0(-15.3%
韓国受注量8.7(-12.8%17.0(+96.4%)13.0(-23.5%
世界発注金額496(-37.8%965(+94.5%)860(-10.9%
韓国受注金額195(-14.8%420(+115.9%)340(-19.0%

( )内は対前年比の増減。発注量・受注量の単位は百万CGT。金額は億ドル。なお「CGT」は「Compensated Gross Tonnage」の略で標準貨物船換算トン数。/基データは、実績は『Clarkson(クラークソン)』、推定と見通しは「海外経済研究所」

⇒参照・引用元:『輸出入銀行』「海外経済研究所」公式サイト

上掲のとおり、2020年は世界の新造船発注量は対前年比で23.5%も減少。2021年にはコロナ禍からの反動が大きく、81.1%も増加しました。

韓国造船業はこれに大きな恩恵を受けたわけです。

しかし、あくまでも予測ですが、2022年には世界の新造船発注量は2021年より15.3%減少します。

ご注目いただきたいのは、このとき、2022年の韓国の受注量と受注金額です。

受注量で「-23.5%」、金額で「-19.0%」と、発注量の「-15.3%」よりも大きく減少します。

もし、ジャックポットの規模に合わせて新規船舶の建造にリソースを突っ込んでいるとその先が危ないということを示しています。また、せっかくのジャックポットの納品が始まる2022年に黒字転換していないと、その先が覚束ないことも示唆しています(発注が減るのですから)。

さて、韓国の造船業は生き残ることができるでしょうか。

(吉田ハンチング@dcp)

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