Money1でもご紹介してきたとおり、韓国は不景気です。特にPF(プロジェクト・ファイナンス)問題、高金利による資金調達の困難などにより、建設業界は危なくなっています。
読者の皆さまもご存じのとおり、業界第16位の施行能力を有するとされた『泰栄建設』がワークアウトに入っています。
2024年04月29日、『韓国建設』が回生申請を行いました。
同社は、施行能力第99位とされる総合建設会社で、光州市の地場企業です。1984年に創業され、実は2009年の韓国通貨危機時に政府から一度ワークアウト対象企業に指定されています。
つまり、いったんは事実上の破綻となりました。
再生してここまで存続してきたのですが、またドボン騒動を起こしたというわけです。
リアルタイムでご紹介できなかったのですが、2023年中から経営が危ないという情報は出ており、2024年01月には、支給い不能状態に陥って、ほぼ全ての現場で工事中断状態となりました。そのため、デフォルトも近い――といわれていたのです。
うわさが現実のものとなりました。
無等山の2つの団地、光州駅革新地区、東区ニューシティ、光州公園オフィスの4つの現場で、『韓国建設』が事業放棄を宣言。『韓国建設』から工事代金を受け取れなかった下請け業者が現場で抵当権を行使する――という状態になっています。
建設会社は不景気で絶不調!
建設会社の生き残りがかかっているという状況は、統計にも現れています。
倒産処理された建設業者(2022年 ⇒ 2023年)
全国
14社 ⇒ 21社(+50%)地方
8社 ⇒ 14社(+75%)
上掲は「倒産」で処理された数ですが、「廃業」を選択した業者数は一桁増えるのです。
204社 ⇒ 321社(+57.3%)
この流れは今も変わっていません。高金利で資金調達もしにくくなり、負債を返済しながら(あるいは滞納しながら)耐えているのが全般状況です。
また、不動産需要は回復してません。
完成したものの未分譲(要は買い手がつなかった)という物件が2024年03月末時点で1万2,194世帯にも上ります。ひどいのは、このうち81%を占める9,933世帯が地方だということです。
韓国は世界有数の首都への異常集中を成し遂げましたが、それ故に不動産においても需要は首都圏に集中するのです。
面白いことに、04月の建設業景況指数でも、ソウルは「84.5」で回復傾向なのですが、、地方ではわずか「62.8」しかありません(上掲参照:データ出典『韓国建設産業研究院(CERIK)』)。
人口減少による建設業界の縮小はすでに始まっていると見るべきかもしれません。
(吉田ハンチング@dcp)